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ぬら孫
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街で変な人を見かけた。

明らかに無断飲食をしたお兄さんが目の前の道を悠々と歩いているのに、店員は全く気づいていないのだ。

「あのジジイ!どこ行きやがった!!」

なんて、ボケた店員なのだろうと思った。


あの日以来、私は家に帰る前にあの場所によることを日課にしていた。

最近のお母さんは、私を見るだけで不快になるらしく、仕事にも支障を来すので、私はお母さんが帰って、また仕事に行ったタイミングで帰るように決めたからだ。


「良い天気じゃな」

いつも通り、うずくまって街を見ていると、先ほど無断飲食をしたお兄さんが立っていた。

「・・そうだね」

無難に返事をする。

お兄さんは楽しそうに笑うと、私の隣に座った。

「ちょっと暇つぶしにわしと話をせんか?」


お兄さんは優しくて温かい人だった。

いつかのお姉さんのように、いつの間にか、抱え込んできた重荷をさらけ出していた。

「つぼみ」

母すらも呼ばなくなった名前を呼んでくれる。

だから嬉しくて、学校での話をしたり、大好きな花のことを話したりした。

「ねえ、花は好き?」

「ああ、好きだぞ。わしは特に桜が好きじゃのう」

どういう原理なのか分からないが、重力に逆らったままの美しい金髪を見ていると、お兄さんはいつも私の頭の上に手を置いて、優しく撫でてくれた。


私に触れるぬくもりが嬉しくて、

あまりにも懐かしくて、

私は思わずお兄さんに抱きついた。

「そんなに泣くほど嬉しいんなら、いくらでも撫でてやるわ」


・・私はお兄さんという存在に救われていた。



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あきゅろす。
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