暗殺教室
雨
「カルマ君、ここの校舎、出るらしいよ」
「出るって何が?」
「血だらけの白いワンピースを着た少女とか?それとも落ち武者だったりしたりして?」
「うん、なんで茅野はそんなに嬉しそうなの?」
「そういう渚君は幽霊とか平気そうだよね」
「まあ、苦手ではないかな」
6月に入り、雨が降り続いている。
しかも今日はかなり土砂降りで、電車も止まっているそうだから、放課後にこうしてみんなで教室に残り、おしゃべりをしていた。
「雨、やまないね」
歩き組、徒歩組は誰もいなくなり、教室にはついに僕らだけとなった。
雨はまだ弱まりそうにない。
すると今まで何かを調べている様子だった律が、驚いた様子で僕らに声をかけた。
「・・あの、今晴れていますよね?」
静寂。
沈黙。
唖然。
全てを受入れてからの笑い。
「いや、だってほら。外を見てみなよ。大雨じゃん」
カルマ君は通常運転で、茅野はおかしいなあ・・と首をかしげつつも、どこか状況を楽しんでいるみたいだった。
「・・今、椚が丘中学校がテレビで中継されているのですが、その、快晴なんです」
見てください、と律の画面全体に映像が表示され、音声が流れ始める。
「16:37・・・本当に今放送されてる」
「おかしいな・・雨が止んだとしても、水たまりくらいあるはずなのに」
「水たまりどころか、道路すら濡れた後がない・・」
雨音が嫌に響いている。
気のせいか、辺りが急に暗くなった気がした。
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