暗殺教室
妖
「お前・・夏目レイコではないか」
「うん、ちがうね」
笑顔で答えたはいいけれど、なんでこの妖、神社の中に入れるんだろう?
「それはお前がその封印を引きちぎってくれたおかげだろう」
9つの尾を持った狐の妖は、笑顔で答えた。
「・・えっ!あ。ほんとだ、どうしよう・・」
「どうする必要もないであろう?レイコらしくない。いつもの強気はどうした」
「だから、私はレイコさんじゃないってば!私は孫の紫苑!!」
・・どうやら、この妖は祖母__夏目レイコを知っているらしい。
レイコさんの孫なのに、ほとんど彼女のことを知らない私にとって、とてもとても美味しい話ではあるが・・。
だがしかし、今私は絶賛授業をサボり中である。
このマイペースな妖は、不思議そうな顔をして唸っているし。
・・よし、放っておこう。
「じゃあ、もう私行くわね」
「ああっ!待て、紫苑!!」
久しぶりに呼ばれた名前。
少し嬉しかったものの、これ以上クラスの人に"不良"認識されるわけにはいかない。
「待てと言っているであろう!」
・・ああ、どんなに今から走っても15分以上かかってしまう。
「スルースキル高過ぎだ、貴様!!」
どうしようかと歩きながら悩んでいると、背中に抱きつかれたような衝撃が走った。
「・・もう、なんなのよ。私、急いでいるんだけど」
「そういうところはレイコに似ているな」
「・・あんまりしつこいと投げ飛ばすわよ」
「鬼だな、お前」
「じゃあ、投げ飛ばすわね」
「わ、私の質問に答えたら、"学校"とやらに連れて行ってやっても良い」
「逆よ。あなたが私を学校に連れて行く間に、私が質問に答えるの」
「・・本当に、お前の本性はレイコにそっくりだな」
「そうだ、あなた名前は?」
「・・人の子に教える名前などないわ」
そうはいったものの、私と話す妖はどこか楽しそうな顔をしていた。
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