暗殺教室
赤羽カルマ
「夏目さん、忘れ物」
殺せんせーに教えてもらった住所に行くと、"山本"と書かれた標識が目に入る。
"親戚をたらい回しされている"っていう噂は本トだったのか。
「・・誰」
うわ、隣の席の人間も覚えていないのか。
まあ、授業中ずっと寝てたら覚えていないか。
「赤羽カルマ。君の右隣の席の奴」
そう言うと、ああ、あなたか。って言われた。
「ありがとう。わざわざ持ってきてくれて」
ふわりと微笑みながら、しかし無遠慮でドアを閉めようとするので、反射的に腕を掴んで玄関の外へ引っ張り出す。
「ねえ、少し話さない?」
「なんでいつも寝てるの?」
「・・体力がないから。学校に行くまでで疲れちゃうの」
「でも体育の時のランニング、結構上位で走りきっているよね」
「それはその日調子が良かっただけだよ」
少し人気のない公園に連れてくると、夏目さんは少し安心したような顔をした。
ずっと遠くを見るような、少し悟った表情をする彼女を見て思う。
・・いい加減に聞きたかったことを聞いてみようか。
でもコレを聞いたら、もう2度と口をきいてもらえないかもしれないな。
・・きっとこれは彼女にとって、聞かれたくないことナンバーワンだと思うし。
でもなぜだろう、少し放っておけないんだよな。実に俺らしくないことに。
・・なら、俺も少しだけ踏み込んでみようか。
「俺さ。小さい頃から霊感があるんだ」
少し驚いた顔をする夏目さんを見て俺は確信した。
「夏目さんも、視えているんじゃないの」
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