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暗殺教室
カルマの時間の後の話。

「赤羽」

「愛支じゃん。・・今日はソフトクリーム食べてんだね」

「赤羽も食べる?」

「じゃあ、代わりに俺のイチゴ煮オレをあげるよ」

少し癖のある髪を二つに結んだ愛支はオレの隣に並ぶとゆっくりと歩き出した。

「・・赤羽、なんか良いことあったんだね」

唐突な愛支の言葉。

瞬時に黄色いタコが脳裏を掠めた。

・・そうだった。愛支には俺のこと、お見通しなんだった。

「まあね。今の教室、退屈じゃないし」

そういうと愛支は「よかったね」と微笑んだ。

茜色に染まる町。

近所の人が話す声。

長く長く伸びる2つの影。

今生きている世界を自分たちの全ての感覚器官を駆使して、感じ取る。

そんなのがモットーの愛支と俺の間には、あまり会話という会話は存在しなかったが、それが俺は嫌いじゃなかったし、おそらく愛支も気に入っていた。

そっと空を見上げると、大きく欠けてしまった月が目に入った。

・・来年もまた、こうして過ごしていけるのだろうか。

そんなことを思った自分に少し苦笑した。


いつの間にかソフトクリームを食べ終え、モナカを食べている愛支は、どこかぼうっとしたまま、周囲を見渡している。

「何やってんの?」

「・・今日はいないみたい」

「何がいないの?」

"人生は選択の繰り返し"

そんな言葉を急に思い出した。

まさか、俺のこの質問が、俺と、そして愛支の運命を大きく帰るターニングポイントだったなんて。

「黄色いタコ」

(俺たちを黒い高級車が取り囲み、中に連れ込まれるまで時間はかからなかった)
(こうして物語は急発進するのだ)

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あきゅろす。
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