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薄桜鬼
賭ける男

「池田屋か四国屋か・・あなたはどちらだと思います?」

「お前は・・」

まっすぐな目が俺を見つめている。


「あなたは私を信じることができますか」

「私が話す事を、言葉を、私自身を」


試されている、と直感した。

ごくりと喉が鳴った。

すると、にやりと笑う顔がやけに印象的な女は、ひとしきり笑ってから、ある言葉を口にした。


「四国屋事件、だなんて響きの悪い事柄は聞いたことないですね・・・少なくとも私の生きていた世界には」

漆黒の瞳が俺を見ている。

見て、観て、視て、診て、看て、

そしてまた見る。

俺がどう動くのか、見極めようとしている。

俺は他の隊士達がいる手前、隊を二手に分けた。

四国屋へ連れて行く人数を多くする代わりに、池田屋へは、強く、経験豊富な人材ばかりを集めた。


「あなたは、私の言葉を信じる方に賭けましたか」

漆黒から唐紅へと変化した瞳はうっとりと興奮しているようだった。

「あなたがたがどう抗うのか、とっても楽しみです」

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