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薄桜鬼
狂った女

「なんだ・・殺さないんですか」

「てめえは、面白そうなことを知っていそうだからな」

杏樹という名の女を屯所で預かるという決断は、果たして鬼と出るか蛇と出るか。

それを俺達が知るのはしばらく先のことである。


【武士のいない時代】

それが杏樹が生きていた世界。

驚くことに、そこには俺達新選組の名も残っているらしい。

「まあ、そこそこの時間が経過しているので、情報が間違って伝わっている場合もありますから、なんとも言えませんけど」

とりあえず、部屋に戻らせた俺達は、あの娘についての処遇を話し合った。


「あの子、完全にワケ有りですよ」

「総司、そんな風に面白がって言うことじゃねえぞ!」

「にしても、あんなにとち狂っている女に会ったのは初めてだぜ」

死を恐れない破滅思考の狂った女。

それが俺達の印象だった。

「・・しかもあの女、相当頭が切れると見える。・・要注意人物であることは間違いないだろう」

「もう感づいていると思うけど」


俺達が話している間、ずっと土方さん達は黙りこくって何かを考えていた。

少し離れたところに座っていた新八達は聞こえていなかったようだが、近藤さんは顔をしかめながら小さく呟いていた。


「・・気が狂わなければならぬほど、苦しかったのだろう」


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あきゅろす。
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