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薄桜鬼
PROLOGUE

放っておくことなんて出来なかった。

「何しているんですか!!」


失踪中の父様を探しに京にやってきた私は、ある少女が浪士たちに絡まれているのを見つけた。

腰まであるまっすぐな黒髪と、

黒地に菊をあしらった着物を着た、赤眼の少女。

1度視界に入ってしまったら、どうしても忘れることが出来なくて、思わず声をかけてしまった。


「なんだ、小僧。何か文句でもあるのか!!」

「大の大人が、こんな小さな女の子に言いがかりをつけるなんて・・みっともないですよ!!」

勇気を出してそう言うと、浪士たちはかんかんに怒って、腰にある刀に手を伸ばした。

・・これは不味い。

反射的に少女の手を取って、その場から走り去った。


「・・どうして私を助けたの」

「・・どうしてって・・・・明らかにあなたは浪士たちに絡まれていたから放っておけなくて」

息を切らす私とは対照的に、全く息を乱していない少女。

「そういえば、あなた・・お名前は?」

名前を尋ねると、少女は少し悩んだ様子の末、小さく「杏樹」と答えた。


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