夏目友人帳 言葉の意味 「今まで、大変だったでしょうね」 彼女はぽろぽろと涙を流していた。 あいは何も言わずに、ただただ静かに聞いていた。 時折、嫌なことまで思い出して、おれが話を続けられなくなってしまっても、 ずっと隣で話を聞いてくれていた。 「・・私に話してくれて、ありがとう」 「いいや、誰かに話を聞いてもらえて、少し楽になったよ」 そう言うと、あいは少しだけ笑った。 「・・私も、誰にも話せないことがある」 「でも・・・・、まだ、それを話せないの」 「いつか、絶対に話すから・・それまで、待っていてくれる?」 少し震えている彼女は、今にも壊れそうにみえた。 「あったかいね」 気がついたら、彼女を抱きしめていた。 「おれも、人がこんなに温かいなんて、思わなかったよ」 おれの言葉を聞いた彼女は、小さく「ごめん」と言葉を零した。 (なんで、おれに"ごめん"だなんて・・) [*前へ][次へ#] |