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短編集
沖田に恋する妖主(薄桜鬼)8

「ねえ千鶴ちゃん。その女の子って、どんな子だったの?」

降り出した雨を見て、青年の脳裏に寂しそうな顔をした少女が浮かびました。

「このくらいの背丈で、色素の薄い髪の毛を腰まで下ろした女の子です」

ああ、やっぱり。

少女の言葉を聞いて、青年は自分の予想が外れていなかったことを理解しました。

どこか懐かしい反面、やはりあの子は人ではないのだと悟ってしまって、なんとも言えない気持ちになったのでした。

「知り合いなんですか?」

「・・うん。昔、ずぶ濡れになってたあの子に手ぬぐいを貸してあげたんだ」

「・・昔?」

「もう、10年以上前の事だよ」

青年の言葉に少女はとても驚いているようでした。

あの子の見た目は、どんなに見積もってもせいぜい10歳がいいところ。

彼女の見た目と僕の言葉が矛盾しているから驚いているんだろうな。

青年は面白そうに笑いました。

「驚いた?君が見たその子は人じゃないんだよ」

少女は俯いたまま何も言いません。

少女は足下に出来た水たまりをじっと見つめていました。


「でも」

突然の少女の言葉に、先に歩き出していた青年はゆっくりと振り返ります。

「あの子の手は、温かかったです」

「ずっと沖田さんの事、心配してましたよ」

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