短編集
夢を見た(番外編 リドル)
「君は何がしたいんだい」
「永遠の命を手に入れたいのかな」
「お前は何がしたいんだ」
「お前を裏切った人間をなぜ助けようとする」
真っ白な空間。
そこには、ボクと彼しかいない。
ボクと彼は背中を合わせて座り、
お互いの存在を感じ合っていた。
「あと1回だけでいいんだ」
「見極めてみようと思ったんだ」
ボクが笑うと、リドルはくだらないと溜息をついた。
「馬鹿なことを。また、裏切ると分かっていて信じようとするなど」
「傷つけられるとわかっていて、なぜそんなことをしようと思える」
「物事に"絶対"なんてあり得ない」
「君が世界中の誰よりもずば抜けた才能に恵まれ、圧倒的な魔力の持ち主だったとしてもだ、リドル」
「君は人間だよ」
「俺をそこら中にいるあいつらと一緒にするな」
「でもね。君は私からしてみれば、ただの人間なんだよ」
力を解放すると、頭に2つの耳が、腰からふわりと9つの尾が現れる。
そうして、そっと彼を包み込んだ。
「賭けをしようじゃないか」
「君が言う、人間がくだらない生き物だと、そう言い切れたなら、私は10日で世界を滅ぼそう」
「私の願望が__人間はまだ、捨てきれたもんじゃないとわかったら、私は世界を守るために戦うだろう」
「面白い。その賭け、乗ってやる」
__懐かしい記憶だ。
____これは"何回目"のボクと君がした賭け事だろう。
__記憶は朧気で、彼の顔もはっきりとは思い出せない。
_____でも、確かに、忘れたくない記憶だった。
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