薄桜鬼×銀魂1
すれ違ってすれ違ってまた絡みつく
少女は大きく息を吸い込んだ。
そして、咆哮する。
誇り高く、遅い主人の帰りを焦がれる子猫のように。
衝撃波が新選組を襲った。
幾つもの部屋を"消滅"させ、辛うじて避けた彼らも、外まで吹き飛ばされていた。
「なあんだ、おにーさんたち。ミミよりちょー弱いじゃん」
「何言ってんだ、勝負はまだ始まったばかりだろう?」
「じゃあ、もっとミミを楽しませてねー!!」
戦いは始まったばかりだ。
圧倒的な力の差があった。
「"帰れないよ"」
青年は、吹っ切れたように地面に倒れ込んでいる男達に微笑んでいた。
「俺がいたら、神威は強くはなれないよ」
弟は知らなければならない。
俺以外の家族___父と妹___がお前と家族でいようとしていることを。
俺は彼らのおかげで、強くなれたんだ。
そう言いながら、青年は男達の手当を開始した。
「…やっぱり温くなっちまったんだなぁ、団長。仮にも団長のアンタに刃を向けたってぇのに」
「何言ってんの?お前らは寂しくて俺にじゃれついてただけじゃないか」
「・・オイルの代わりに血が流れる、生きた殺戮兵器みたいだった団長が、こんなこというようになるとはな」
「・・・お前らそんなこと思ってたの?」
若干目が据わり気味の青年。
そんな青年の頭に夜兎のリーダー格の男が手をのせる。
「でも団長の心根は変わっちゃいねえんだってことはわかったよ」
ぐしゃぐしゃと頭をなで回し、アホ毛を弄りながら男は続けた。
「"ただ一心に前を見て突き進む"・・そんな団長に惚れたのが俺たち第七師団なんだから」
青年は不器用に笑った。
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