EternalKnight
メンバー分け
<SIDE-Leon->
まぁ、それはついて来たいと願い出る奴がいればの話で良いだろう。必要で無い者を連れて行くのはメリットになる可能性もあるが、デメリットになる可能性も十分に孕んでいる訳だし。
後は――爺の所に行くメンバーについても考えておきたい。俺が出向いても良いのだが《宿》に立ち寄ってから《情報屋》に寄る事は、位置関係的に不可能では無いのだが結構な時間を必要とするのだ。
加えて、あの爺の事だから既に今回の件を知っているのはまず間違いないと考えて良いので、俺が直接出向こうが出向くまいが、恐らく結果に影響しない。
流石に、面識の無い奴をあの爺の下に送り込もうとは思わないが、ある程度面識がある奴を寄越せば、それで十分結果は出るだろう。
しかしながら、守護者に爺を知ってる奴が何人いるかなんて、ハッキリ言って俺に分からない。辛うじて、幹部の連中が面識がある事が知っている。
だが、最悪の場合を想定して、二人以上でメンバーで行かせたいと思うのだが、流石に幹部二人を動かすのはやりすぎだとも思う。ここ《宮殿》に戦力を多めに残しておきたい事を考えると、やはりそれは少し躊躇われてしまう。
――いや、そういえば少なくとももう一人《情報屋》について知っている奴が居るんじゃなかったか? と、言うか何も聞かずに勝手に面識が無いと思い込んでいるが、結構な人数がいるし《情報屋》に行った事がある奴ぐらいそこそこにいるんじゃないのか?
否、そもそも先程フェインと話していた際に《宿》《情報屋》と言う単語が出てきても誰も突っ込んでこなかった事を考えると、殆ど全員が知っていると考えてもおかしくは無い。
まぁ《情報屋》は兎も角《宿》が有名なのはある意味当然な訳だが。つーかこうやって一人で考えるよりも、話し合ったほうが全然早い気がする。
喋るよりも考えた方が思考速度が早いのは当然なんだが、他者の意見が聞ける分、話す方が断然効率が良い気がする――と、言うか何でそういう事に中々気づけなんだ、俺は?
やっぱり引きこもっていた弊害なんかな、こういうのも……
(自分でそこまで気づけただけでもそこそこな成長だと思うぞ? 少なくともお前にとっちゃ?)
悪かったな、自分で気づけない事ばっかりで。それは兎も角《情報屋》へ向かってもらうメンバーはそう深く考えずに選んでいい気がする。と、言うか爺に話を聞きに行くだけなのだから、二人も居れば十分だろう。
最も敵に遭遇するかも知れないと言う可能性を考えると、二人とは言え一人はSSSであるべきだと、俺は思うのだが。
と、言うかもう色々考えるのが面倒なのでゼノンかキョウヤのどちらかと、あと一人は間違いなく《情報屋》について詳しいであろうフェインでいい気がする。
フェインに関しては《情報屋》の常連であることが前に訪れた情報屋跡地で記されていたのだから間違いない。後はゼノンとキョウヤのどちらと組ませるか、だが――
(同じ派閥のゼノンでいいんじゃないのか? 上司と部下と言う関係ではあるが、間違ってもお前とゼノンみたいな悪い関係ってことはないだろ、それなら?)
よくフェインの派閥なんか覚えてたな、シュウ。自分で聞いといてなんだし、自慢でもないんだが、俺は全く覚えてないぞ、誰が何処の派閥の所属だとか。
と、言うか別にお前の意見に異存がある訳でもないが、ゼノンは兎も角、キョウヤって誰とでも合わせられそうなんだが――その辺はどう思う?
(いや、俺にどうと言われてもな応えようが無いんだが? つーかお前はまたずっと俺とこうして念話で会話してる訳だが、良いのか? さっき話し合ったほうが良いって結論に至ってたのは何処の誰だ?)
本格的にダメだな、俺。もう根っこの部分で引きこもってシュウとだけ話す癖が完全についちまってる。まぁ、結論は出たが、それで良いかの確認ぐらいは話して、決めよう。一人で決めるのって、よくないしな。
(結論がお前の中で出てる時点で確認もクソも無い気がするが――まぁ、別な意見があればそれを軽く受け入れれば良いだろ。最も、割と理にかなってる上に、組織のトップの決めた事に反論できる奴がそう居るかどうかは俺は知らんがな?)
……お前は大体いつも一言多いな、シュウ。
(褒め言葉として受け取っておこう――と、言うか事実を教えてやっただけだよ、俺は)
いや、お前の言ってる事も理解は出来るけどさ、そういう風に考えると結局誰にも何も相談できなくなるだろ? 必要なのは話自体じゃなくて守護者の構成員達と話をする事な訳だし、俺の至った結論を話すのを後に回せば良いってだけだろ?
(まぁ、そういう考え方も出来るがな――所で、今更言うのは何だと思うが、急いでいるんじゃなかったのか、レオン?)
急いでるには急いでるよ。けど《根源》が復活を果たしてしまった今は、そういう話し合いの一つも出来ない程急いでると言う訳じゃないんだ。それに話をして信頼を少しでも得ておくのも大切だと俺は判断した、それだけの事だよ。
(そうか、お前がそれで良いと言うのなら俺からはもう何も言わんよ)
さて、コレでシュウも暫く黙っているだろうし、もう何度目かになる俺の沈黙でいい加減悪くなり始めている空気を何とかする為に、彼等と意見を交わしあおう。
多少時間が掛かるのは問題ないし、何か言い案が出れば先程俺が一人で考えて至った結論は潔く捨てて、そちらに乗り換えるつもりでも居る――まぁ、俺の案を出すのは他の意見がある程度で揃ってからになるのだろうが。

<SIDE-Leon->
「って、事で《宿》と《情報屋》に向かうメンバーを選出したい訳だけどメンバー分けに関してなんか意見のある奴っているか? 因みに、余ったメンバーは全員宮殿で待機って事になる」
一通りの説明を済ませ、俺は最後をそんな言葉で閉めつつ、守護者のメンバー達に視線を向けた。
流石に俺自身が《宿》へ向かうつもりであることは説明の途中でしておいたが、他に関しては俺がメンバーの割り振りをどう考えていたかは一切話していない。
少なくともコレで意見が出にくい、と言う事は無いだろう――俺が向かうつもりであると宣言した《宿》の方は多少選びづらいとは自分でも思うが。
(多少どころでは無いと思うが――まぁ、選べないという程ではないだろうな。新たにリーダーとなったお前と言う存在を測りたいと思ってる奴には丁度言い機会だろうしな)
既に幹部連中からお墨付きを貰ってる俺に対して、そういう風に思える奴が何人も居るとは思えないけどな、俺には。
まぁ、私的には幹部連中に認められてるから認めるって考えかたをされるよりは、そういう風に疑ってでも俺と言う存在を直接見て納得するなり反発するなりしてもらった方が関係を築くという意味ではありがたいのだが。
(反発してもらった方が良いって、なんかサドっぽい言い回しだな。お前ってマゾじゃなかったっけ?)
へんな所で言葉を拾って揚げ足を取るなよ、シュウ。別に俺はサドでもなければマゾでもねぇよ。まぁ、強いて言うなら若干マゾ寄りなのかもしれんが。
(おぉ、遂に自分がマゾである事を認められたか、レオン!)
お前の対応がウザイから適当に応えただけなのにマジな反応とかしてんじゃねぇよ! ってかお前はもうホントに何回俺の意識を内側に引きずり込んだら気が済むんだよ。
(何回引きずり込んだって、んな事は知らん。それとも何か? お前は今まで自分の心臓が何回脈打ったか知ってるのか?)
比較対象、比較対象が明らかにおかしいから。そんなの覚えてる奴とか絶対居ないから! ってかそれと比較できるぐらいに日常的にやってるって事を言いたいのか、テメェ?
(頭の回転が速くて助かる、流石は我が契約者だ)
それは絶対に褒めて無いよな、明らかに貶してるよな!
『って、こうやって乗るから引きずり込まれるんだよ、俺は……いい加減学習して無視を決め込みたいんだけど、それはそれでムカつく対応してくるしなぁ――一体どうすればいいんだよ、俺は』
(に、しても――お前も飽きないな、レオン? さっきの掛け合いに近いパターンの掛け合いなど、もう何十度もやってきただろうに?)
……いや、お前がそういう会話になる様に仕向けてるんだろ? 別に俺だってしたくてあんな不毛な掛け合いを何度もやってる訳じゃねぇよ。
(不毛だと思うのなら、乗らなければいいだけだろ?)
無視したら無視したで、より鬱陶しい絡み方をしてくるのは何処の誰だ?
(無視しろとまでは言っていない。何か他の話題を振って話を有耶無耶にするとか、他にも考えれば色々あると思うぞ?)
って、言うかそういう提案をお前の方から持ち出してきてる時点で色々と間違ってる気がするんだ、俺は。
(まぁ、それもそうか――ならばそうだな、暫くは黙っておいてやろう)
お前の暫くってドレくらいの時間になるのか凄まじく興味があるんだが――自分でそう言って置いて黙って、一時間もしない内に喋りだす事が大半だろ、お前?
(……黙っておいてやると言ってるんだぞ、レオン?)
『都合が悪そうなら黙秘か……まぁ、いつもの事だけどさ』
まぁ、どれだけ持つか分からないが折角黙っていてくれるといったのだから、その間に話を纏めておこう。シュウと駄弁るだけなら《宿》へ向かう途中に話題が無くなった時に幾らでも出来るのだから。
親睦を深める、と言う意味ではそういう状況にはなって欲しくは無いのだが。
取りあえず、先程の掛け合いに関してはそう長い時間の出来事ではなかったらしい。らしい、と言うのは単純に誰も意見や考えを口に出そうとせず、話題が一向に進んでいないからそう判断しただけなのだが。
故に、広間は沈黙に支配されている。単純に最初に意見を言うのが嫌なのか、意見がコレといって無いのかは分からない。
或いは、己が考えを纏めるのに時間を要しているだけなのかもしれないが、何にしてもクロノの様な読心能力が無い俺にはその判断は出来ない。最も、出来ない事が普通なので、特にそれによって問題がある訳でも無いのだが。
そんな事を考えながら、俺も言葉を発さずに黙っていると「一つ、聞いておきたいんだが」その沈黙を引き裂いて宮殿の入り口で見張りをしていた銀髪の男が言葉を紡ぐ。
「このまま誰も意見を出さなかったらどうなるんだ? アンタの独断でメンバー割が決められるのか?」
「誰からも意見が出なければそうせざるを得ないだろうな。あんまりそういうのを押し付けたくは無いから意見を出してもらって、極力その意見を採用する方向で行きたいとは思ってるが、何も意見が出ないんじゃ仕方ないだろ?」
銀髪の男――名前は、なんだったか思い出せないが、確か宮殿の入り口で見張りをしていた筈だ――の言葉にはそう応える。事実として、このまま意見が出なければ、先程考えていたメンバーで《宿》と《情報屋》に人を向けるつもりでは居た。
《宿》の方へ連れて行きたいもう一人、或いは一組は、あくまで居れば良い程度の考えであって、絶対に必要と言う訳ではない。もっとも、少しでも話をして信頼関係を築く為に、希望者が多いようなら出来うる限り引き連れて行きたいのだが。
とは言え、拠点に戦力を残す必要があるのは明白なので、俺とネロ、それにクロノとエリスを除けばつれて行けても五人かそこらが限度ではあるのだが――それでも、拠点に留まる人数が少なくなる事から考えれば危険なのだ。
まぁ、希望者零のこの状況から、希望者が多く出るような事にはまずならないだろうから、それは心配するだけ無駄な事なのだろうが。
「だったら、俺とリズィは《情報屋》の方へ行かしてもらいたい。つい100年前までかなり世話になってたんだが、目的を果たして以来長い事行って無かったし、顔を見せに行きたいと思ってたから丁度良い」
リズィと言うのは、彼の隣に居る薄めの茶髪の彼女の事だろうと、勝手に納得しつつ「分かった――が、別に早く言った奴を優先する気はないから、他に《情報屋》へ行きたいって奴が多く出た場合は話し合うなりして決めてくれ」と、男の言葉に応える。
その俺の言葉に男は小さく頷いて、今居る位置から隣に居るリズィとやらと一緒に俺を取り囲む様に集まっている守護者のメンバー達の輪から少し後ろに下がっていった。成る程、あぁやって貰うと誰の意見を聞いていないのか分かりやすくていい。
最も、全員が同じ様にしてくれなければ意味は無いのだが――輪から離れる際に他のメンバー達が離れやすいように少し道を開けた様にも見えたので、そういう風にする事が彼等に取って普通なのかも知れない。

TheOverSSS――16/28
UltimateSeven――3/7
PerfectSix――2/6
KeyToSeven――1/7
――to be continued.

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