EternalKnight
PerfectSix
<SIDE-Leon->
【それなら僕の封印を解かない理由にはならないでしょう? そもそも、なんでレオンさんが反対するんですか。貴方には《広域次元世界》を守ると言う義務があるでしょう?】
【義務はある。が、それを成す為の方法は俺が決める――宿命から逃れられたお前をもう一度宿命の中に引き戻したくない、だから封印は解かない。それから、封印を解かない理由にはならないだろうとお前は言ったが、残念ながらなるんだよ、それが】
今現在、封印状態に無い聖具は俺の《終焉》と不完全な状態ではあるが《呪詛》の持つ《根源》の二つだ。そして《根源》の完全復活とほぼ同時に、《時空》の封印が解かれて三つになる。
これだけなら問題は《根源》をどう攻略するのか、と言う事だけなのだが、仮に《必滅》の封印を解いたとすれば、その数は4つとなる。そうなれば、自身の危機か、六柱の内の四つが活動している事が封印が解ける条件となっている《創世》が目覚める事になる。
そうなってしまえば、完全な状態の六柱が《終焉》《根源》《必滅》《創世》の四つとなり、それに共鳴して《真理》の封印が解けてしまう。
【今お前の封印が解けば、直ぐにでは無いだろうが、近い内に完全なる六の全ての封印が解けてしまう事になる。流石に完全な状態になる訳じゃないだろうが、全ての封印が解けているって事は、あの戦争の焼き直しか、それ以上の事が起こってもおかしくは無い】
【だったら《呪詛》が完全に《根源》を復活させる前に滅ぼせば良い――そうすれば《時空》の封印が解ける事も、《創世》や《真理》の封印が解ける事もないでしょう?】
《必滅》の言う事は理にかなっている。確かにそれが出来れば《必滅》の封印を解いた所で問題は発生しない。それが、出来れば。
【不可能だ。仮に《根源》の完全復活までに《呪詛》を滅ぼす事が出来るのなら、俺だって《根源》が完全になる前に《呪詛》を倒したい。だが、その状況でならお前の力を借りなくても、俺一人で十分なんだよ】
【っ……貴方が僕をその気にさせたのに、忌まわしい僕自身の宿命を再び背負ってでも彼の願いを叶えてあげようと思ったのに、貴方は僕の決意を受け入れてくれないんですか?】
宿命から逃れられた彼を再び宿命の中に引きずり込みたくない。だが、それと同じくらいに彼の決意を認めてやりたい。だけれど、彼の封印は解かせない。それは俺個人ではなく《広域次元世界》の全てを守る使命を帯びた者としての選択だ。
【お前が悩み抜いた末での決意を受け入れてやりたいとは思う。だが、受け入れてやれない。俺の個人的な感情で決めて良い選択じゃないんだよ、コレは。だが、お前達に力は貸す事は約束する――目的は一緒だからな】
《必滅》の封印を解こうが解くまいが、俺達の目的は《呪詛》を倒す、と言う一点に尽きる。ネロがそれを成そうとする理由は聞いていないが、それだけは確かだ。
【……わかりました。結果を出せると言うのなら、貴方がそういうのなら、僕も元の力を取り戻す事は諦めます。否、元は自分で選んで切り離してもらった力ですから、そこに再び戻るよりも今のままでよかったんだと、そう考える事にします】
【すまない。《広域次元世界》を守る為に、お前の決意を無為にしてしまったのは俺の実力不足だ。《根源》を奪われなければこんな事にはならなかった――否、遥か昔、封印を施す際にうまく条件を設定していれば、こんな事にはならずに済んだかもしれない】
反発していた《真理》や《根源》はああせざるを得なかったが《必滅》や《創世》それに《時空》の条件を決めたのは他でもない俺だ。
《真理》はもっとも厳重に封印を施したが、それでも残る五つの内の四つも完全な状態となれば、世界を支える柱として他と共鳴してその封印が破られる。
《根源》はその力を三つの断片に分け、一つをフェディスに与え、一つを小さな世界に封じ、最後の一つを俺がセルに渡した――そして、その三つの断片はフェディスにより集められ、そこから《呪詛》に奪われて現在に至る。
《必滅》は本人の意向により力と魂を二つに分割し、その力を管理していた俺が守護者の拠点の最深部へと封じ、魂は完全なる六であるという宿命の鎖から開放され、自由を手に入れたが、契約者の為に己が力との再結合を望んでいる。
《創世》も本人と契約者の意志によって、その力と記憶を封じ込め、自身の危機か完全なる六が三つ以上完全復活した場合にのみ、それと戦う為にその封印が解けるように処置を施して、自由を与えた。
《時空》に関しては契約者あっての存在である為、封印直前の最後の――仮ではあるが――契約者である俺の命に従って、自らが構築した時の迷宮の深部で活動を休止させている。
そしてそこへ誰も干渉できないようする為に、封印直前であった《根源》と強引に仮契約を結び誰にも干渉できないという概念を付与させ、完全な封印を施した。
そして《終焉》――シュウの力も世界に影響を与えないように限定化して、Sクラスの聖具にして限りなく封印状態に近い状態を作り上げ、完全なる六の全てを破壊することなくその力を無力化させ、世界を安定させた。
もっと良い手があったんじゃないかと、今でも稀に思う。今回の事ではっきりしたが、この方法だと幾つかが復活してしまえば芋づる式で他も復活してしまうのだ。だが、それを悔やんだ所でどうにもなら無い。
完全なる六の破壊は、世界を支える六柱の崩壊は決してあってはならない。そうなれば世界は崩壊を待つしかない――そう《広域次元世界の意志》は言っていた。
故に、破壊という絶対的な手段を行使できず、封印という半端な状態にするしかない。否、そもそも仮に破壊することが出来た所で、SSSクラスの洗礼因子が引き継がれる以上、完全なる六の持つ洗礼因子も誰かに引き継がれると考えるのが妥当だろう。
まぁ、引き継がれようが引き継がれまいが《広域次元世界の意志》の言葉を信じるなら完全なる六を壊すなどという選択肢はありえないのだが。
否、仮に信じていないとしても、可能性が存在する以上それを試す事など出来る筈が無い。壊れても問題が無いならそれはそれで良い。だが完全なる六の崩壊が《広域次元世界》の崩壊に直結していた場合はどうだろう――と、言うのは考えたくも無い。
と、言うか――また思考の海にどっぷりと浸かってしまった。シュウのせいで癖になったのか、或いは元から俺がそういう気質なのか……九千年近く前なのでおぼろげにしか覚えていないが、シュウと契約する前からこんな兆候があったと言う記憶は無い。
つーか絶対にシュウのせいだろ、普通の人はこんなに自分の中にどっぷり浸かって考え込めないって、普通――とは思いつつも普通の定義が非常に曖昧なのだが。なんというか、永遠者という存在自体が普通とはかけ離れているのだろうし。
【兎も角、お前には悪いと思うがそういう事で頼む。結果だけは絶対に出す――今はまだ《根源》に対抗する手段は思いつかないが、俺以外の同位の存在じゃなきゃ勝てないなんて決まりは無い、絶対に手はある筈だ】
実際に同じ完全なる六である俺がそう思うのだ。最高位の聖具使いである事は、無敵の存在である事には結びつかないと――その絶対的な力にも必ず綻びは存在する。が、因果に干出来る《根源》の綻びは、恐らく限りなく小さい。
【それはまぁ、理屈の上では不可能では無いんでしょうが……それでうまく行くんですか?】
【さて、可能性で言えば限りなく低いとは思うが、逆にうまく行く可能性の高い対抗手段の因果は弄られているだろうから、どうせ成功しない】
故に、やるなら《呪詛》側が考えなさそうな戦術を選ぶしかなくなる――のだがそんな案が簡単に浮かぶなら苦労はしないだろう。
【まぁ、それについては今は保留で良い。俺とお前で話しすぎててお前の大事な契約者が手持ち無沙汰になってるし、とりあえずこの話はココまでだ――お前の真名とクラスについては……まぁ、適当にやるから話をあわせてくれ】
【分かりました、僕の方も出来る限り何か良い方法は無いか考えておきます。それから話は会わせますが、だからって変な名前なんか名乗らせないでくださいよ?】
変な名前って、シュウじゃあるまいし、そんな事はしないっての。 ってか信用されてるのかされてないのか微妙だな、なんか。
しかし、どんな偽名が良いかな? なるべく元の名に近い物がいいとは思うんだが――《滅び》とかどうだろう?
いや、なんか名前の響き的にかなりクラスが上そうだな、それだと。いや、別に気にしなくてもいいのか? 別に名前がすごくてクラスの低い聖具とかも普通にある訳だし。
クラスに関しては永遠の騎士化できない最上の物でいいからCって所か――そうと決まればそれをネロに伝えなければならない。
思考の泉から抜け出して、外の状態を意識する。右手にはネロの黒いグリップが握られていて、直ぐ目の前にはネロが無言で立っていた。此方の意識が外に向いているのに気づいていない。
と、言う事は意識が内面に沈んでいる時も外見は変わらない、と言う事か。まぁ、実際外から見て意識が内面に向かっているのが分かるのなら、今まで誰かに指摘されていない訳がないんだから当然と言えば当然か。
「――結果から言うが」
突然口を開いた俺に驚いたのか、目の前で立っていたネロの体ビクリと反応して「あぁ、どうだった?」その直後には気を取り直したかのように俺に続きを促してきた。
「名前は《滅び》でクラスはCだな。どうも縁起の悪い名前が嫌いだったらしい」
名前を隠して居た理由を思いつきで適当に付け加えて、俺はネロにそう伝えた。元の名とも殆ど変わっていないし、まぁ《必滅》の言う所の変な名前と言うのには当てはまらないだろう。
「《滅び》か……成る程そんな名なら確かにあの時のあれにも説明が付く」
どうやらネロは以前に《必滅》の能力の一端――とはいっても力を封印されているので本当に一端なのだろうが、兎も角それ――を見た事があったらしい。そのお陰で、割と適当に語った偽名について直ぐに納得してくれた。
まぁ、それがどんなものだったのか聞くいて変なボロでも出しても仕方ないので、力を魂と分離させた状態でどの程度の規模の力を行使できたのかは気になったが、それについて深く聞くのはやめておくことにする。
しかし、結構長く話し込んでた気がするんだが、守護者の他の連中はまだなんだろうか? ココが宮殿の最深部だとは言え、フィリアが直通の道を作っているだろうから、ココに来るまでにそこまでの時間は掛からないと思うのだが――
そう思って、フィリア達が出て行った道の方へ絞って探知範囲を伸ばすと、その先に会わせて二十四個の反応を確認できる。と、言うかこの距離なら態々方向を絞るまでもなかった。
聖具と契約者でそれぞれ別々の反応を示すのだから、人数で言えば十二人、いやクロノの生存は等しくエリスの生存を意味している筈だろうから、は少なくとも二つの聖具を持っているから十一人か?
しかし、そうであるなら余っている一つの反応はなんだ? 守護者にエリス以外に複数の聖具持ちなんて居たか? まぁ、俺が知ってる奴の方が今は少ないだろうし、知らないだけかもしれないな。
いや、待てよ? そういえば挨拶回りしてた時に居たな、一つの聖具に二つの魂を内包させてた奴が。顔は思い出せるんだが、なんて名前だったけな? いや……駄目だ、思い出せない。
もっとも、待ってれば向こうからこっちに来るし、最悪ネロに名乗ってる時に覚えればいいだろう。シュウが居ればまた忘れてた事でグチグチといわれたのだろうが、幸い今はシュウも居ないのでそれも問題ない。
まぁ、折角反応を捉えたんだしもうすぐココに辿り着くって事をネロに伝えてやれば良いか――少しは、心の準備をする時間があった方がネロも楽だろう。
「もう直ぐに残りの守護者メンバーが来そうだが、心の準備は出来てるか?」
「あぁ、問題ない。と、言うか二十四の反応――聖具もちだと十二人になるのか?――兎も角、その反応なら随分前から捉えていたぞ? それに心の準備なんて物は、随分昔に済ませてしまっているから、俺には要らない」
捉えてたって、今の《必滅》の探知能力じゃあの位置で密集している所までしか知れないと思うんだが。じゃあ何故、あの距離で密集しているエーテルの数を正確に言い当てられたのか?
そんな疑問が、俺の中で生まれた。

TheOverSSS――15/28
UltimateSeven――2/7
PerfectSix――1/6
KeyToSeven――1/7
――to be continued.

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