EternalKnight
<決戦の幕開け>
<Interlude-翼->・・・夜
「一体なんだったんだよ……」
紅蓮さんと兄貴が突然剣とか出して斬りあって――
紅蓮さんの腕が斬り落とされて、それが直って……
途中で二人の間に突然人が現れて――
そんで霧が出て……霧が晴れたら全員いなくなってて――
「何が……どうなってんだよ」
俺は何をすればいい?
こんな馬鹿げた事を誰が信用してくれんだよ……
俺はただ……その場で棒立ちするしか出来なくなっっていた。

<SCENE085>
延々と説明が続く――
なんだかんだですごく時間がたってる気がするんだが。
「って言う事なの、わかった?」
えっと……つまり要約すると《EtarnalKnight》ってのは――
(歳をとらなくて寿命が無い――)
(ただし外傷等で死に至る危険もある半不老不死)
力の強い聖具と契約した者がそれになれる――
年取らない理由とかも聞いたけどこの際長いからパスだ。
(その《EternalKnight》の中でもいくつか勢力がある)
あの二人は自分達の欲のために世界を荒らしている奴等への対抗勢力で――
そういう事らしいけど……
ちなみにアレンさんもリズィさんもは今600歳以上だそうで――
「あんた達が世界を荒らし回ってる奴等じゃないという証拠は?」
「――無いけど、俺達が君に加担した事は、奴等はもう知ってると思う」
「今頃もう一人……さっき君が戦ってた子に肩入れしてるよ、きっと?」
「あんた達は俺に手を貸してくれるのか?」
「あぁ、残っているのは君ともう一人の子だけだからな」
「? もう一人居るんじゃ……《無我》って奴が」
「そいつは多分あの子にやられたんじゃないのか?」
「そう……か」
生き残るには勝つしかないんだよな。
俺は生きる、生き抜いてみせる……だから――
「解った、信じよう……あんた達を」
「ありがとう、紅蓮君――」
「本当なら君には聖具を放棄する権利もあるはずなんだけど……」
「え……?」
どう言うことだ?
真剣なアレンさんが口を開いた。
「君はその聖具を放棄することは出来ないんだ……」
「放棄するつもりは初めからありませんけど、どうしてですか?」
「……リズィ、すまん」
「任せてあっちゃん、まずね一定以下の力の聖具は簡単に契約を放棄できるの」
「そうなんですか?」
「えぇ、それで一定以上の力の聖具が簡単に契約を放棄できない理由は一つ――」
「なんですか?」
「さっきの歳をとらない理論で言ったけど――」
「存在情報そのものを書き換えてしまうからなの」
(元の世界の物質で構成されている情報――)
(ソレを全ての世界で通用するエーテル関連物に置き換える事だな)
「でも人間は基本的にオーラ以外のエーテル関連物には干渉できないの……」
「つまり……聖具の補助なしでは情報の書き換え後は――」
「少しずつエーテルに還っていくって事だ」
「そう、でも君は、力を持たない聖具しか持っていないのに――」
「左腕の存在情報が書き換えられているの」
「正しくは儀式なしでは情報を書き換えられない聖具……だな」
「な!?」
どう言う事だ?
(俺にも解らん、そんなことをした覚えはないぞ?)
「どうなってんだよ……」
「どうやらその様子じゃ聖具自身も解ってなかったようだな」
確かにソレも気になるけど、長い話はもう聞き飽きた……
「で、結局何が言いたいんだ?」
「聖具が放棄できない以上戦うしかない――」
「負ければ死、勝てば無限の戦いに囚われる」
「だから、初めから放棄するつもりなんて無い!」
「ホントに……それでいいのか?」
放棄なんて考えられるかよ――
真紅の魂の器を棄てることなんて、俺には絶対出来ない。
もちろん相棒もだ。
じゃあ、会長に殺されるのか?
考えられるかよ、そんなことで――
真紅の護ってくれた命を散らせれるか。
「俺は勝つ、それが……俺の誓いだから――」
「わかった、相手は三人、君は参加者同士で決着をつけてくれ」
「私達は……《運命》ともう一人の相手だね?」
アレンさんがうなずく――
「もう引き返すことは出来ない……紅蓮、別れの言葉は、この戦いの後だ」
この戦いの後……か。
「行くぞ……この世界での最後の決戦だ!」
俺達は時閉の世界から外に出た。

<SCENE086>・・・夜
俺が時閉の世界からでると――
そこは俺と蒼二の戦っていた所……俺の家の前の道路だった。
「紅蓮さん!」
翼の声だ、さて……どうやってこの条件を説明しようか?
「彼に説明するのもいいが――早くしないと向こうの説明が終わって攻めてくるぞ?」
「私達は時閉の世界で話してたから、時間はほんの数秒しか経ってないけど……」
そうか……じゃぁここには長居できないな――
いや、この世界で戦ってホントにいいのか?
「時間が経ってないなら……こっちから仕掛けたほうがいいんじゃないのか?」
「この世界に被害を出したくないからか?」
俺は小さく首を縦に動かした。
「わかった、じゃあ別れの挨拶は全部終わってからにしな」
「そのつもりだ」
「あの……紅蓮さん、その人たちは?」
翼が会話に入ってくる、悪いけど今は時間が無い。
「翼、俺はちょっと用事があるんでこの人たちと行ってくる」
「ちょっと……ですか。なら別れの挨拶ってのはどういうことですか?」
そりゃ聞いてるよな……
「後で説明する、今は何も言わずに行かせてくれ」
俺は翼の瞳を見つめる――
「……」
俺の瞳を見つめ返した翼は急に目線をそらした。
「……解りました、行ってきてください」
「ありがとう、翼」
「話がついたなら行くぞ?」
「あぁ、行こう」
「紅蓮さん……絶対に、絶対に戻ってきてくださいね!」
「あぁ、約束だ!」
また……約束が増えちまったな――
アレンさんのすぐ前の空間がゆがみ……門が現れた。
俺達はその門の扉を開けて……門をくぐった

<SCENE087>
門の中は――
様々な色の混ざり合った不思議な虹色の空間だった。
コレが無重力という物なのだろうか?
足元に何も無いのにその場に停止している。
「すげぇ……」
「これからずっと見ることになるんだから、そんなに凝視することも無いだろぉに」
俺達が入ってきた門はすでに消滅している。
「出口はどこだ?」
「出口はあるんじゃなくて作るんだ……そして奴等の気配がする場所は――」
アレンさんが指差した先の空間に突然門が現れた。
「あそこだ……行くぞ」
「わかった」
俺達はその門をくぐった。

<SCENE088>
黒い部屋……いや広間か――
「へぇ、そっちから来るなんてねぇ?」
中央にいた小柄な青年が喋った。
その姿を見つけた瞬間――
「見つけたぞぉ! 《運命》!」
アレンさんが声を荒げて叫んだ。
「ん……誰だよ、お前?」
「お前が忘れても、俺は忘れないぞ!」
「――俺達の世界を壊したテメェを!」
「記憶に無いな、まぁいい……リューガ、コイツは俺にくれ」
リューガと呼ばれた大柄の男がぼやく。
「因縁持ちならば……仕方ないか」
「女の方はお前にやらせてやる」
「――ふぅ、気乗りせんな」
「そういえば……戦うにしては少し狭いな」
「広くしておけよ?」
「そのつもりだ――」
次の瞬間、黒い広間は……一面の荒野になった。
「それはさておき、二人とも? 僕の相手はアイツなのかい?」
二人の男の間にいる蒼二は俺を指差しながら言った。
「その通りだ」
「あんな弱い奴を殺っても何も楽しくないが――」
俺に視線を移して笑みを浮かべる。
「まぁ――なぶって殺すってのも、たまにはいいかな?」
(俺達もなめられたもんだな、相棒?)
あぁ、思い知らせてやる、俺達の強さを――
(そうだな……行くぞ?)
「調子に乗ってるのも今のうちだぞ」
「ふん……きなよ、殺してやるよ?」
俺と蒼二は地面を蹴った。

<Interlude-アレン->
「さぁ、始めようか?」
「言われなくてもやってやるよ!」
行くぞ《救い》!
(もちろんだ、約束に縛られる汝の心を救う――)
(そのために我が力、いくらでも使うがよい)
地面を強く蹴り、距離を詰める。
「はぁぁぁあああ!!」
「武器も持たずにくるか!?」
「SummonExcalibur!」
瞬時に俺の手に《聖剣》が握られ、ソレを叩き付ける――
[ガキィィィン!]
《運命》が手に持った杖で剣を止める。
「へぇ……高速で実体化か――」
「だが……そんなんじゃ俺には勝てないぜ?」
「ちぃ……」
《運命》に力負けして弾き飛ばされ、後方に跳躍し着地する。
やっぱこれじゃあ駄目か……
(今の汝の限界は同時に三つまでだ、まだ二つある)
あぁ解ってる、二つ目行くぞ?
(任せておけ――)
「SummonAwakening」
俺の右手を手甲が覆う。
「複数契約……か?」
「ハッ!」
地面を蹴り再び《運命》との距離を近づける――
ただし速度はさっきの二倍弱――
一気に接近して《聖剣》を振り下ろす。
「!? DestinyTerritory」
《運命》の周りを結界が瞬時に包見込んでいく。
[ギュィィン!]
《聖剣》は結界を破れずに押しとどまる。
「くっ……」
「驚いたな……かなりの速度だ――」
「少しばかり本気を出してしまったよ?」
(あの結界……かなり強力だぞ?)
「まぁ……この技を発動させた時点で――」
「君の負けは決まったわけだが……まだやるかい?」
「ふざけるなぁ!」
[ギュィィン!]
俺は《聖剣》を全力で結界に叩きつけた。

<SCENE089>
[ガキィィン!]
銀の剣と黒い剣がぶつかり合い……火花が散る――
一度弾いて、もう一度剣をぶつける。
[ガキィィン!]
「へぇ……剣の強度が上がったのかい?」
「進化したんでな!」
さらに剣をぶつけ合う――
[ガキィィン!]
このままじゃ埒があかないな――
《原初》で蒼二の黒い剣を弾き距離をとる。
(能力……使うのか?)
それしかない、速度はほぼ同等だしな――
一気にカタをつける!
(好きにしな)
脳内で剣を書き上げる……鋭利で強固な剣を――
配置は蒼二の背後、頭上、手前の三点からだ!
「クリエイション!」
シンプルな剣が三箇所に構成され高速で射出される。
しかし高速で迫る三つの剣を前に――
余裕の表情だと?
「Destruction」
打ち出された三つの刃は――
蒼二にあたる直前でその全てがエーテルに分解されていく。
「なッ!?」
「コレが俺の能力Destructionさ」
(アレは……おそらくオーラで構築された物質の強制破壊――)
(又は強制分解能力か……厄介だな……)
ってことは――
「君の能力は僕には利かない、だけど――」
蒼二は黒い剣を構えながら言った。
「僕の能力は……君には効くんだよ――」
(はったりだ、あの能力は攻撃には転用できない)
「見せてあげるよ? コイツがもう一つの能力――」
「もう一つ!?」
「EndOfGlacier」
次の瞬間――
俺の向かって高速で何かが飛んできた。

<Interlude-リズィ->
「行きますよ?」
「ふむ……そのローブが御主の聖具か?」
「それが……どうしたんですか!」
「どうもあまり気乗りせん――」
「御主の聖具……元々攻撃に向いていないと見えるが?」
そんなことは今更言われなくても解っている――
「だから、それがどうしたんですか!」
「私はあっちゃんにあなたの相手を任されたんです!」
「戦う気が起きんのだ……」
「何が言いたいんですか!」
(落ち着いて、リズィ?)
「何度も言っておろうに……戦っても勝つのは拙者だ……と」
「それに、相手と接近戦ができん戦いなど――」
「してもつまらんだけなんのでな?」
「……」
「他の戦いが終わるまで待っている、というのはどうだ?」
「私はあっちゃんに……」
「それはあくまで足止めという意味であろう?」
「――拙者は他者の戦いを妨げるような……そんな無粋なマネはせん」
(リズィ……ここは戦わないのが得策かと)
(階位こそ同等ですが……恐らくとてつもなく強いですよ、彼は?)
「解りました――」
「うむ、物分りがよくて助かる」
こうして……私は他の戦いが終わるまで待つことになった。

<SCENE090>
[バキィィン]
高速の《何か》を《原初》で弾く――
[ガシャァン]
地面に落ちた《何か》は砕け散った……コレは、氷?
「へぇ、打ち落としたか……なら、コレはどうだい?」
蒼二の周りに氷の弾丸が複数個表れ待機している。
(まずい……)
一斉に打ち出す気か――
「かわしてみなよ?」
蒼二が腕をこちらにかざすと、氷の弾丸が打ち出された――
盾の図面を脳内に広げる――
かわせないなら……防ぐ!
「クリエイション!」
弾丸を全て前面に広げた盾で止める……よし問題ない。
って……ちょっと待て――
さっきから大量に構築や同時構築したのに……何で疲れてねぇんだ?
(進化したことによって、一回辺りの消費量が激減した)
(ついでに俺が溜め込んでおける限界量も増えたしな?)
そりゃ、ありがたい限りだ――
「へぇ、あれを防げるのか……だが、まだまだこんなもんじゃないぞ?」
(防御できても攻撃の手段が無いぞ、相棒?)
だからどうすりゃいいか考えてんだ、少し待て――
「さぁ……第三段だ、今度はどうかな?」
さっきもそうだったけど今回も又詠唱なしか……どうなってる?
(俺にもわからん――)
さて、じゃあ今考えても無駄だ……今はただ――
「何度だって防いでやるよ!」
そして、再び無数の弾丸が打ち出された――

to be continued・・・

<Back>//<Next>

22/31ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!