EternalKnight
<内に眠る者>
<SCENE080>・・・夜
さて、人様に出すために必死で作った料理な訳だが……
豚バラ肉を食べやすい大きさに切って――
それをフライパンで焼きある程度焼けたらいったん取り出して――
適当に皿の上にでも置いて。
フライパンをよく熱してから溶き玉子を入れて混ぜて――
ご飯と豚バラを入れて混ぜ合わせて塩とこしょうで味をつける。
最後にごま油としょう油を入れてよく混ぜてっと――
「コレが……俺の限界だ」
昨日のヤバイ創作料理のことは忘れてまともな料理を作ってみた。
もちろん出来上がったのはチャーハン――
普通に食べれるレベルで一人で作れるのって……
コレ含めて五品あるかないかぐらいしかないからなぁ?
「よーし出来たぞ翼!」
チャーハンを運んでいくと……机に突っ伏して翼は眠っていた。
「疲れ、たまってたのかなぁ?」
そりゃそうか、あれだけ泣いてたんだし……
「まぁいいや翼の分は後で暖めればいいや」
そう思って俺はスプーンを動かしていった。
――食事も終了して……
翼はなかなか起きないな――
時計の短針は九と十の間辺りを指している。
「うぅーん」
書置きでもして、とりあえず町を見回るかなぁ?
どうしよぉか……翼君には悪いけどやっぱりいかなくちゃな。
俺は翼君を置いて夜の街を見回りに行った。

<SCENE081>・・・夜
「ただいまぁ」
結局何も起こらないまま夜の見回りを終わらせて家に帰ってきた。
「どこ行ってたんですか?」
翼が玄関の俺に走り寄ってきた。
「まぁ色々と用事があってな――」
「そういえば風呂まだ入れてなかったな、すぐに入れよう」
「気を使ってくれなくてもいいです――」
「所で……二階に女の子の部屋があるみたいなんですけど」
「あぁ、それは気にしないでくれ、そのうち片付けるから」
どうやら俺が居ない間に家の中を歩き回ったらしい
「何の部屋がどこにあるかわかったか?」
「はい、だいたい」
「なら説明しなくてもいいな――」
「じゃ俺は風呂でも入れてくるから、適当にくつろいでてくれ」
「そうですかぁ、ならお言葉に甘えて」
翼君がリビングへ歩いていく。
「さて、さっさと風呂のお湯でも入れるか」
そんなこんなで夜は更けていった……

7月26日金曜日
<Interlude-蒼二->・・・昼
学生服を着て学校に入る。
グラウンドでは野球部や陸上部などが部活動に勤しんでいる。
「こんにちは生徒会長、どうしたんですか? 夏休みなのに」
突然話しかけられる――
「いや、ちょっと探し物をね、君達は部活かい?」
「はい、剣道部の一年、黒崎武(くろさき・たける)です」
あぁ確か一年なのに部長より強いって噂の奴だったな……
「黒崎君か、噂は聞いてるよ、入部したてなのに部長より強いとか」
「まぁ事実ですけど、俺は小さい時から家で稽古つけてましたから」
「ほぉ、家に道場でもあるのかい?」
「はい、家の剣術は一子相伝みたいな感じなんで――」
「まだ父さんに稽古をつけてもらってます」
「そんなに強いなら、ワザワザ部活に入らなくても……」
「いえ、部活して青春の汗を流せって父さんが――」
「所で、部活中なら剣道着はどうしたんだい?」
「いやぁ、一年はランニングしてこいって先輩に言われまして」
「そうか、なら、ここで話してていいのか?」
「後ろの人とはだいぶ差があいてる筈ですから」
「そうか、話が長引いてしまったな、僕から話すことはなくなった」
「それじゃぁ、俺はそろそろ行きますね――」
「引き止めたりしてすいませんでした、生徒会長」
「いや、急ぎの用ではないのでかまわんよ」
「それじゃぁまた――」
そう言い残して、黒崎は走って行った。
さて、僕も探し物を見つけに行くか?
まぁ夜までに調べれればいいんだがな。
生徒会室に入りパソコンの電源をつける……
パソコを立ち上げる――
早速、各生徒ごとの情報を引き出す。
カズミヤグレン……っとキーボードに文字を打ち込む。
一瞬で検索され成績、住所等のあらゆる情報が表示されていく――
成績は下の中。
体力測定では中々の好成績。
家族構成は妹との二人暮し――
両親は四年前に事故死……
コレが彼の情報、二本の剣を持つ男の――
二刀一対なのか別の別のモノなのか――
まぁそんなことはどうでもいいか?
住所は……っととりあえずメモをとっておくか――
検索した履歴を抹消して電源を落す。
コレでよし、後は適当に何か作業でもしていようか?
――夜が来るまで。

<Interlude-???->
「もうすぐか……」
やっと到着しそうだ、奴等の反応は二つ。
そしてあの世界にいる聖具の使い手の反応は二つ――
聖具は三つある、多重契約か?
世界の中にいるやつより――
外の奴等……コレは《運命》!?
やっとだ、やっと見つけたぞ……《運命》
「あっちゃん?」
表情に出ていたんだろうか?
リズィが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「リズィ、見つけた《運命》がいる」
「え?」
一瞬、驚いた表情に変わり――
すぐに瞳を閉じて意識を集中させている。
「感じたことのあるオーラ……世界のすぐ近くの外に居る」
「逃がさない……絶対に叩き潰してやる!」
「あっちゃん……気持ちはわかるけど、自分を見失っちゃだめだよ?」
「――ああ、わかってるよ」
どちらにしても、敵の拠点に乗り込むほど俺は馬鹿じゃない。
奴等の狙いは恐らく――
自分達のばら撒いた聖具を潰し合わせて残った奴を糧にすることだろう。
「最後の一人になる前に話のわかりそうな方に接触するか……」
「それがいいと思う」
「よし、それじゃあ行こう!」
世界をつなぐ門は――
まだもう少し続く。

<SCENE082>・・・夜
[ピンポーン]
「だれだろ?こんな時間に」
時間は七時過ぎ、この時間に訪問者が来るのは珍しい。
「誰でしょうか?」
「っと……早くドア開けなきゃな」
俺は玄関のドアを開けると……そこには生徒会長が立っていた。
「こんばんは……紅蓮君」
翼を迎えに来たのか?
でも翼の話じゃ、そんな奴じゃないことはわかっている。
「何か用か、会長」
家で自分の言いなりになる奴が居ないから――
とっ捕まえに来たのかもしれない。
「あぁ、少し用があるんだ、君にねぇ」
俺に? ……だと。
「紅蓮さん、誰だったんです……か」
生徒会長の顔を見て翼の動きが止まる。
「なんだ、こんなとこに居たのか、役立たず」
「他人の前では猫かぶるんじゃなかったのか、この糞兄貴」
「誰に向かって口を聞いてるんだ? まぁいい」
「質問に答えやがれ!」
「うるさいぞ、このクズが……そんなに知りたいなら教えてやる」
コレが生徒会長の本性――
話に聞いてたとおりの変わりっぷりだ。
「これから殺す相手に、本性を見せない必要なんて無いだろ?」
「「!?」」
何……だと?
「終わりの剣よ、我が力となれ」
祝詞が紡がれる、つまり――
強い風と共に周囲を黒いオーラが包んでいく。
「さて、こっちは出したぞ? お前は出さなくていいのか聖具をさぁ?」
生徒会長――
三枝蒼二もこの戦いの参加者だったという事だ。
オーラは収束して蒼二の手は黒い、先端が斧のようになっている剣が握られていた。
「何の……話をしてるんだよ!」
「お前には関係ない話だ」
「紅蓮、お前はこのまま無抵抗に殺されていいのかぁ?」
「そのつもりは……無い」
「紅蓮さん?」
「後で、全部説明する、隠れててくれ」
翼は何も言わずに後ろに下がって行く。
「ソード、オブ、クリエイション」
両手の指輪は光の粒子になり、俺の手で剣となる。
(また、まずい相手とあたったな)
「前にも見たが、二刀流だな――」
「二つで一つか? それとも別々のモノか?」
「お前に教えるつもりは無い」
「そうかぁ、それじゃぁ始めようか、紅蓮」
「それよりも、一つだけ聞いておきたいことがある」
「俺はお前と殺しあいたくてうずうずしてんだ、手短に済ませろ」
「……お前は自分の両親を殺したのか?」
ゆっくりと、言葉を紡いだ。
「あぁ、何かと思えばそんなことか――」
「殺ったのは僕さ、いちいちうるさかったからね、あの二人はぁ」
コイツは……こんな奴は許すわけにはいかねぇ――
「それじゃぁ、改めて始めよう」
(来るぞ!)
「解ってるよ!」
しかし、家の中で暴れるわけには――
近くに翼も居るんだし。
黒い剣を構え、正面から走りよってきて剣を振ってくる。
[キンッ!]
「くぅ……」
《創造》で攻撃を弾きながら外に連れ出す手段を考える――
力技しかやっぱ無いよなぁ……
剣を振り終えた後の隙に、腹に蹴りを入れてドアの外に追い出す。
そのまま接近して剣を振りおろすがそれはかわされる――
「へぇ、なかなかいい動きじゃないか?」
「やけに……余裕だな」
態勢を立て直しながら問う。
「家の中じゃ何かと戦い辛いしね」
「――僕は広いとこで戦えるならそっちのほうが好きなのさ」
こっちとしてもありがたい限りだ……
その返答に答えるかのように両手の剣を握り締めながら構えをとる。
「いくぞ!」
蒼二が地面を蹴って俺に迫る――
俺は剣を交差させその一撃に備える。
[ガキィン!]
振り下ろされた一撃を止めるが衝撃で剣を持つ両手が痺れる――
「どぉしたんだい?」
続けざまにさらにもう一撃が迫り――
「ック!」
[ガキィィン!]
痺れた手で持っていた《真紅》は手から弾かれる。
「弱いなぁ、そんなものかい?」
コイツ……一撃一撃がとんでもなく重い……
俺は右手の《創造》を両手で構える――
《真紅》を拾いに言ってる時間は無い。
「ふぅ、弱い……さっさと次を探そうか、《終末》」
そう呟きながら蒼二が剣を振り上げ……振り下ろされる。
《創造》で振り下ろされる一撃を受け止める――
[ガキィィン!]
(グッ……ガァッ)
《創造》が今までに聞いたことも無いような声を上げる。
「これは面白い、使う奴も使う奴なら――」
「聖具も聖具で弱いのかい?」
何を言ってるんだ……?
そして、すぐにその意味を理解する――
「冗談……だろ?」
俺の手に握られた《創造》にはヒビが入っていた。
(スマンな……相棒――)
(だがしかし心配するな、我が消えようとも、《真紅》は消えわせん)
「ちょっと待てよ!」
まだ……光の粒子になり始めたわけじゃない。
「まだ何とか、お前の能力で何とかなるはずだろ?」
「残念、君はここで終わりなんだよ」
手に持っていた《創造》に再び黒い刃が振り下ろされて――
[バキィィン]
本当に簡単に相棒は壊されてしまった。

<Interlude-創造->・・・夜
(ここは、どこだ?)
周りは深淵のように暗い。
我は、確か砕かれた筈だが……
ここは、あの男の聖具の中か?
(破壊された聖具はみな倒された聖具の糧となるからな)
そんなことを考えていると――突然周囲が明るくなった。
【あぁ……聞こえるか?】
(誰だ?)
【きっと、(誰だ!)ってな感じの反応してんだろぉなぁ】
(何?)
【まぁそんなことはいいや、お前に伝えたいことがある】
なんだ、この声はどこか我に似ているようだが……
(何をだ?)
【ちなみに先に言っとくと俺は――】
【情報として残されてるだけだから、お前が話しかけてきても反応できない】
(何だと?)
【まず、色々知りたがってるだろぉから説明だけ――】
【ここはお前の中だ】
(? どう言う事だ)
話しかけてもむだなら質問には意味が無い。
【何言ってるかさっぱりわからんだろぉが――】
【で……俺が何者かって言うとだな】
この声の正体……何者なのだろおか?
【俺はお前だ、まぁつまり……昔のお前ってことになるな】
(昔の我……だと?)
【お前は覚えて無くて当然だ、なんせ、今から記憶とほとんどの力を封印すんだからなぁ】
(記憶と力を封印?そんなことを何故するんだ?)
【なんせ、俺は……いや、まぁ今はいいや――】
【で……お前ここに居るって事は壊されたんだよな?】
(……)
【今回は大サービスで俺……じゃない、お前を復活させようと思う】
(ホントか!)
【しかもパワーアップのおまけ付でな】
自分で自分を封印したってのは何でなんだろぉか?
【そうそう、パワーアップって言ったけど実際は封印してた力の一部を開放するだけだから】
一部を開放する……か
【じゃ、いくぜ?】
力が流れ込んでくるのを感じる、懐かしい力――
まぁ、元々私の力だったなら懐かしいのは当然か。
そして、意識が遠退いていった。

to be continued・・・

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