EternalKnight
<脅威襲来>
7月24日水曜日
<Interlude-無我->・・・夜明け前
暗闇の中、俺を照らすのは月光のみ。
「体も……ずいぶん慣れてきた」
体を軽く動かす……完璧だな。
「騒がれるのも面倒だな……動くなら明日の夜からか」

<SCENE053>・・・朝
目が覚めるた。
昨日は町を回ってみたが結局永十君をやった奴を見つけれなかった。
そりゃ、黒目黒髪ってゴク普通の日本人だし……
実質の情報は優男のみ見たいなモノだ。
「それじゃーみつかんねぇーって……」
それにしてもだ――
今現在で十人中、判ってるのは――
俺、聖五、永十君、七壬さんの四人。
「実質、優男入れて五人か……」
まだ正体不明が六人も居るとなると、どうにも気がめいるなぁ……
「はぁ、まぁいいや」
「――それより聖五が待ってるかもしれないし、考え込むのはやめよ」
俺は適当に着替えて部屋を出る。
「っと……真紅を起したほうがいいのかなぁ」
真紅の部屋の扉をノックしてみる。
「真紅〜起きてるか?」
返事は――無い。
「寝てるか」
休みなんだし、まぁ書置きでも置いとけば大丈夫だよな?
そう決め付けて、俺は適当に朝食を食べ、書置きを残して家を出た。

<SCENE054>・・・昼
「とりあえず……どうする?」
「早く集まったのはいいけど、こんな時間じゃ向こうも動かないだろうしなぁ」
実際、朝から今まで町を見回っていたが何もなかった。
「適当に飯でも食うかぁ。どこにする?」
「学食は?」
「今、夏休みだろ? 聖五」
「あ……知らなかったのか? 開いてるぞ?」
「夏休みも開いてるのかよ!」
「部活とか補習生が使えるようにな」
「って事は、春樹と冬音がいるかも知れないのか」
「昼飯時だから会うかもな」
「なんか愚痴言われそうだな、ちゃんと勉強してないあいつらが悪いのにさぁ」
「まぁここらじゃぁ、あそこぐらいしか安く昼飯食えるとこないし・・・」
「家で食えば別だが……ってお前、真紅ちゃんは?」
「書置き残して一人で飯食うようにって書いてるから大丈夫だ」
「そうか、ならまぁいいが。っとそうと決まればさっさと行くか」
「だな」
俺達は学園に向かった。

<SCENE055>・・・昼
「で――何にしようかなぁ?」
「俺は……そうだなぁハンバーグ定食かな?」
「ハンバーグ定食か、それもいいなぁ。いやここはカツカレーに――」
昼飯、何食うべきかなぁ?
「アレ? 紅蓮に聖五、何やってんの?」
やはり見つかったか。冬音がいるって事は――
「お前等二人も補習か?」
やっぱりこいつもいたか……
「いや、俺は今回は補習無いから」
「じゃあ何でいるんだ?」
「見れば判るだろ? 昼飯だ」
すかさず切り替えす聖五。
「何でわざわざ学校に?」
「――まさか補習がある俺達を馬鹿にしに来たんじゃ無いだろうな!」
「そんなつもり無いって……」
「じゃあ何で?」
[ぐぅ〜]
俺達の周りだけ時が凍りつき、静寂に包まれた。
「誰だ?」
静寂を聖五が破る。
それはともかく少なくとも俺じゃないけど……
「素直に手を上げろ、そうすれば聞かなかったことに……」
冬音がゆっくりと手を上げた。
再び静寂が訪れる前に、春樹が切り抜けた。
「この際、理由なんてどうでも良いじゃんか!」
なんか無理して話題を戻したみたいだ……いや俺もできればそうしたいが。
「そうそう、早く注文しよう!」
「そうだな……飯だ――飯!」
冬音が暴走すると――
いろいろまずいのでとりあえずここ数分の出来事は無かったことにしよう。
――カツカレーかなぁ? やっぱ。
値段は全部均一だし。

<SCENE056>・・・夕方
昼飯を食った後、もう一度町を一通り見て回った。
「結局……見つからなかったな」
「明日からは晩からにした方が良いんじゃないのか?」
「もう少し細かい情報もらえないかな、永十君に?」
「だな。まぁ――今からじゃ行ったって夜で面会禁止だろうけどな」
確かに聖五の言う通りだ、じゃあ――
「明日の昼は?」
「いや、昼だと他の面会者がいるかも知れないし……」
「じゃあ、朝一番か……面会時間ぎりぎりか」
「朝一番に行くべきだな」
「そうするか、じゃあ明日は何時に集合にする?」
「七時ぐらいかな?」
「そうするか、で……もう一回りするか?」
「そうだな、もう一回りするか」
俺達はもう一度町を一回りして見ることにした。
その途中――
「あっ、お兄ちゃん! どこ行ってたの! 聖兄ちゃんも一緒にいるし」
真紅がいた……何故?
「いや、それよりお前こんな時間にうろついてどうしたんだよ!」
「買い物だけど……」
「どうして昼のうちに行ってないんだよ……」
「だって私、起きたのさっきだし、家に材料なかったし」
「・・・はぁ」
どうするかなぁ?
「一緒についっていってやれ、最近物騒だしさ」
聖五が気を配ってくれた。
「わかった、じゃあ一緒に買い物行くぞ、ったく」
今からじゃ店が閉まるぎりぎりだろうけど……
「気をつけてな、残りは俺一人で見て回るから」
「見て回るって……何を?」
「お前は気にしなくていいの」
「じゃあいいけどぉ」
聖五と分かれて俺は真紅と商店街に向かった。

<Interlude-聖五->・・・夜
紅蓮と真紅ちゃんが角を曲がり見えなくなってからつぶやく。
「どうしようかな?」
まぁ学校近くでも見て回って帰るかな……
で、学校に向かってると――
「あれ……聖五? こんな時間にこんなとこで何してんの?」
ばったりと冬音と春樹に出会った。
「お前等こそ何してんだ?」
「いや、補習の帰りだけど?」
「そうか……って、何でこんな時間まで?」
「なんていうかなぁ、ノリ?」
いくら成績悪いからって――
最近物騒なのにこんな時間まで生徒残すか……普通?
「で……はかどってるか?」
「「ぜんぜん!」」
胸を張って言う事じゃないと思うが?
「馬鹿か? お前等」
「そんな事無いぞ?」
「いや馬鹿だ馬鹿」
「お前に言われちゃ反論できんな」
あっさりとそういうのはどうよ?
「ちなみに聖五は何してんの?」
「俺は……散歩だ」
一瞬で言い訳を考えた――
まぁ誰でもすぐに思いつく言い訳だが。
ってか、言い訳として成立してるのかコレって?
「似合わないことしてるねぇ」
「別にいいだろ、ったく」
「それはさておきだ、どうせだから一緒に帰んない?」
「いや一緒にって一緒なの後五分ぐらいだろ?」
「まぁそうだけどさぁ、別にいいじゃん?」
「俺は別にかまわないけど」
「じゃあ決まり、はい……春樹もさっさといくわよ!」
「扱いが酷い、俺一応、冬音の彼氏なのになぁ」
あきらめろ、春樹……今に始まったことじゃねぇって。
「!?」
突然全身から冷や汗が流れる。
なんだ、どこにいる?
――強烈なプレッシャーの出所を探す為、俺は視線を動かす。
どうやら隣の春樹と冬音は気づいていないらしい。
「今までとあわせて五、六、七人目か――」
「コレだけ殺せば、この体の主のような参加者は動き出すだろうな」
ぼろぼろのコートを羽織った男が歩み寄ってくる。
あれは間違いなくこの圧倒的なプレシャーの出所。
そしてさっきの話から察して参加者。
男の声で春樹達はやっと男に気がついたようだ。
「お前等には、参加者を引き出す餌になってもらうぞ?」
そんな理由で、俺の友達を、俺を殺すだって? ふざけんな!
参加者を誘き出すだって? 参加者は、俺は……ここにいる!
「こいつ等を……やらせない!」
意識を集中させ、祝詞をあげる。
「開放されよ、解き放たれよ、叡智の力よ!」
瞬時に光が解き放たれ……俺の両腕を聖具が包んだ。
(契約者戦ですか・・・少々厄介でしょうが、頑張りましょうマスター)
「ああ、もちろんだ」
「こいつは……とんだ幸運もあるものだ……まぁいい相手をしてもらう」
「こいつ等を巻き込むわけにはいかない! お前等! 早くここから離れろ!」
反応が無い、まぁ声が出なくなる気持ちも判らなくは無いけど……
それにしても、あいつ等なんで《叡智》について何も言わないんだ?
考えてる暇は……無いか。
俺は《叡智》を、男はクローで覆われた拳を構えた。
男が地面を蹴る、一瞬送れて俺も地面を蹴って前に出た。

<SCENE057>・・・夜
真紅の朝昼兼用夕食(俺の夕食)の買出し――
俺と真紅は適当に買い物を済ませて家路についていた。
「あんまり買う時間がなかったよ〜」
「仕方ねぇだろ? どこの店ももう閉まる時間だったんだし……」
「三日分くらい買い込んでおきたかったなぁ」
「それはまた明日な」
「付き合ってくれる? 荷物持ち」
「どうせ暇だからな……いくらでも付き合うよ」
永十君に聞きに行くのは――
聖五に一人で行くように伝えなきゃな
「ありがと♪」
満足そうな笑顔……機嫌を直したみたいだな。
「じゃあ晩飯食ったし、帰るか?」
「そだね♪ 行こ!」
「お前は朝兼昼兼晩飯だけどな」
「むぅ! 酷いよぉ、もう先に帰ってるもん!」
真紅が走り出そうとした――
「ちょっとまった、そこの彼女!」
「「え?」」
俺と真紅は声のしたほうに視線を向ける。
視線の先には、黒髪の男がいた。屋根の上に乗っている――
月明かりが逆光となって瞳の色までは見えない。
でも恐らくその色は――黒。
口調から察すに優男――
杖のようなモノを持ったシルエット――
そしてその周りを飛ぶ、光る何か――
その男が、永十君をあんな目にあわせた本人だと――すぐにわかった。
ぶちのめしてやりたい。でも……タイミングが悪すぎる。
何も真紅がいる時に現れなくても――
「そこの兄さん、その子……俺に譲ってくんない?」
「何?」
「いやぁ、だからさぁ、その子を俺に譲ってくれよぉ?」
「何言ってるの……あの人、それにアレ……一体何?」
「ふざけんな!」
「ふざけてないって、譲ってくんないならさぁ――」
「殺しちゃうよ?」
笑いながらそんな事を言っている。
こんな奴に……永十君の未来は――
ほとんど潰されたってのか?
「お前なんだろ、永十君をああしたのは?」
全身の血を沸き立たせる程の怒り――
それに震えながら、真紅に気づかれないように問う。
「お兄……ちゃん?」
「はぁ? 誰の話してんの?」
「一昨日の夜――何をしていた?」
「一昨日? たしか青髪の美女を……」
「しらばっくれんな!」
怒りに我を忘れ捲くし立てる。
「永十君の手足切り落としたのはお前だろぉが!」
「覚えてないなんて言わないだろうな!」
「なんの話してるの、ねぇ!」
「あぁ、アイツね?」
「邪魔だったんで手足切って放置してたから死んだと思ってたけど」
「っ!」
「話聞いてる奴がいるって事は生きてたんだ?」
「まぁ……どうでもいいけど?」
「ふざけるなっ!」
「暑苦しんだよ……で、譲ってくれるの? お前の女」
「黙れっ! お前をぶっ飛ばす。」
「永十君と同じ痛みを教えてやる!」
「お兄ちゃん! さっきから何の話してるの?」
「あら、なんだ兄妹か――」
「まぁうるさいし、兄貴の方を殺してこの子連れて変えろっと♪」
光が数を増していく、その数は十数枚。
「ふざけんな、死ぬつもりも……まして真紅を譲る気もねぇ!」
「だからぁ、心配しなくても殺してやるよ」
「ソード、オブ、クリエイション」
ゆっくりと言葉をつむぎ右手に銀の剣を握る。
(相手も……契約者か)
「お兄……ちゃん?」
「なぁんだ……あんたも参加者?」
男が屋根の上から飛び降りる。
「なるほど、強気にもなるわけだ」
「逃げろ、真紅」
俺の背中に隠れている真紅にそう告げた。
「逃げないもん、私は……いつも護ってもらってばっかりだから」
「え?」
俺が予想していなかった反応。
「逃げないんだ? まぁどっちでもいいけどさぁ――」
「ところであんたのソレ……進化してんの?」
(まずいな、進化した後の聖具か――)
「進化?」
「知らねんだ? って事は楽勝だな」
(とにかく相棒、お前の妹がこのままここにいるのなら――)
(相手が進化した後のモノなら死にに行くようなモノだぞ?)
真紅は動こうとしない。それでも――
いや……だからこそ!
「俺は、真紅を護りながらでも戦ってみせる!」
「だからさぁ? 嫌いなんだって言ってんだろぉ――」
「そういうノリはさぁ!」
光の輪の一枚が俺に向かって迫る。
――が《創造》で切り裂くとあっさりと光の輪は消滅した。
何で……こんなにもろいんだ?
まぁいい、手を抜いてるなら一気に仕掛ける!
次々と迫って来る光の輪を《創造》で切り裂きながら――
俺は優男との距離を縮めた。

to be continued・・・

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