EternalKnight
<蒼い髪の女>
<SCENE045>・・・夜
リビングに戻った俺達が見た光景は――
床で寝ている春樹。よだれたらしてやがる!
机に突っ伏して寝ている冬音。こっちもよだれか!
イスに座って黙々と缶ビールを飲んでいる風美ちゃん。
無理やり飲まされたのか、真紅と琴未ちゃんもダウンしている。
っつか酒クサッ!
みんな顔が真っ赤だし、俺達がいなかった数十分で何があったんだ?
そして――
「あ〜紅蓮、聖五、どこ行ってたのぉ〜?」
幽鬼のごとく、俺達を冥界へと連れ去る魔人が目の前に現れた。
「「ちょっと……」」
「まぁいいか、今永十君が日本酒とか補充に行ってるから〜♪」
今まで見たこともない笑顔、だが――
「「えっと……」」
「付き合え♪」
「「遠慮しときます!」」(この間約0.2秒)
俺と聖五の声が重なった。
「あぁ? 私とぉお酒が飲めないとぉ?」
殺意に近い波動を放ってる。
このままでは、殺られる!
[ドサッ]
突然、玄関の方から重量のある物を置いた音が聞こえた。
「あ♪ 帰ってきた」
なんて最悪のタイミング……ここは、逃げなければ。
タイミングを計る為に視線を聖五のいた場所へ――
ってもういないしっ!
「聖五逃げちゃったかぁ、まぁいいやもう一人獲物がいるしね♪」
「いや……風美ちゃんもまだいけそうだから、風美ちゃんとでも……」
風美ちゃんはさっきのように……ってもう日本酒開けて飲んでるし!
その隣で永十君も日本酒飲んでるし……二人とも一体いつの間に?
「だってぇ、風美ちゃん飲んでても楽しくないんだもぉ〜ん」
「いや、でもだなぁ」
「他人が飲み潰れるの見るのって楽しんだもん♪ 潰れない人と飲んでも楽しくないしぃ」
「ちょっと待てくれ、俺は嫌だ、つか初めから飲み潰させるつもりかぁ!」
「大丈夫だって、紅蓮ならきっと何本もいけるから♪」
「いやだぁぁぁぁあああああ!!」
そしてその後俺は日本酒をラッパのみさせられて(覚えているのは一本目の途中まで)。
そして俺の意識は深い闇の中へ消えていった。

7月21日日曜日
<SCENE046>・・・朝
目が覚めた、頭が痛い……
周りを見る、悲惨だなぁ。
俺もみんなもリビングで酔いつぶれたようだ。
真紅、冬音、琴未ちゃん、春樹が泥のように眠っている。
って、残りの四人はどこだ?
「あれ、紅蓮起きたんだ?」
リビングのドアが開き翔ねぇが現れた。
「……他の三人は?」
「聖五はあんたの部屋で寝てて――」
「永十君は朝のランニング、んで風美ちゃんはシャワー浴びてる」
「なんで?」
ってかなんか翔ねぇの髪も湿ってるっぽいんですが?
「なんとなく、あ・・・私も浴びてきたよ?」
「だからなぜ許可を取らずに勝手にそんなことしてんだよ!」
「いいじゃん♪」
呆れて言葉も出ない
「ただいまっす!」
永十君がどうやら帰ってきたようだ。
「お帰りー、ってここお前の家じゃないだろ!」
「先輩、起きてたんっすかぁ? 酔いつぶれてたからもっと遅くまで寝てるのかと思ったんっすが」
「あぁ、ってお前等そういえば何でこんなに早く起きてるんだ?」
「早くって、もう十時回ってるわよ?」
「そうじゃなくて、何であれだけ飲んだのに潰れてないんだよ!」
「あんたとは体の出来が違うのよ♪」
「小さいころから飲んでたっすからねぇ」
……そうか出来が違うのかぁ
って何納得してんだよ、俺!
「もういい、朝飯でも食うよ」
俺は適当に冷蔵庫をあさって食べる物を見つけてそれを食べることにした。

<SCENE047>・・・昼
「あのさぁ、どうしてみんなここにいるのかな?」
時間は昼過ぎだ。
しかし、俺の家には昨日のメンバーが全員そろっていた。
「いいじゃん♪」
「よくない!さっきまで寝てた冬音と春樹と琴未ちゃんは仕方ないけど」
「私もさっきまで寝てたよぉ、お兄ちゃん」
真紅が話しに入ってくる。
「いや、お前の家はここだろが」
「そうだった……」
「でだ、問題なのは聖五、翔ねぇ、風美ちゃん、それから永十君だ」
「私は、兄さんを待ってました」
「別に、一人で帰れるだろ、春樹は!」
「まぁ、帰れなかったらクズですけどねぇ」
俺にはどうしても風美ちゃんの思考が読めない……
「あのぉ、先輩に午後からカラオケ行くからここに居ろって言われたんっすが・・・」
聖五に視線を向ける。
「何のことだ?」
シラを切りやがった!
「へ……先輩?」
「まぁ、俺はお前じゃなくて永十君を信じるが」
「軽い冗談だって、そういうわけだから」
「まぁそうだな、暇だし今日は無理だけど明日にでも行くかな」
「わかったっす、じゃあ俺はもう帰るっす、それじゃあまた明日っす」
そういって永十君は帰っていった。
「それでも後六人居るのか」
「ちょっと、紅蓮に聖五!」
「んだよ?」
「私はカラオケ行くなんて聞いてないわよ!」
「言ってないし……」
「私にだけ教えてくれないなんて、みんな酷いわ!」
「って言うか私も聞いてなかったんですけどぉ!」
「俺聞いてないぞ!!」
「お前等が海でナンパがどうとか言ってたときだな……お前等聞いてなかったし」
冷静になって言う聖五
「「「……」」」
「まぁ今ならまだもう一人か二人ぐらいなら・・・」
「俺!」「「私!」」
三人でにらみ合ってる。
翔ねぇが無言で右拳を前に出す。
それに応じて春樹と冬音も拳を突き出す。
「「「最初はグー」」」
同時に叫ぶ三人――
「「「ジャンケン」」」
腕を振り上げ己の未来をかけて三人は腕を振り下ろした。(実際三人とも気合入りすぎだし)
「「「ポン!」」」
三人の手は――
春樹グー
冬音グー
翔ねぇパー
「やりぃ♪」
翔ねぇが声を上げてはしゃいでいる。
本当に教師としてどうなんだろうか、あの人は?
しかしその横で二人は闘士を燃やしている。
「「あいこで」」
死闘の第二幕が始まる。
「「しょ!」」
春樹パー
冬音パー
「「あいこで」」
第三幕
「「しょ!」」
春樹チョキ
冬音グー
「いやったー!」
「ばっ・・・馬鹿なぁ」
飛び跳ねる冬音、そのの隣で崩れ落ちる春樹、哀れだなぁ。
「あほクサ」
完全にアレは春樹を馬鹿にしている眼だなぁ?
兄貴の立場が形無しだし、本当に哀れだなぁ春樹よ。
そんな感じで騒いだ後、家にいた奴等はみんな自分の家に帰っていった。
まぁ冬音と琴未ちゃん以外みんな昼飯をたかって行った、ふざけやがって。
ちなみに冬音もたかるつもりだったみたいだが琴未ちゃんに引きずられて帰っていった。
あれじゃあどっちが姉か判らんな、まぁあの二人は双子なんだが……

7月22日月曜日
<SCENE048>・・・朝
朝、食パンをかじりながらニュースをみていた。
「今日は晴れかぁ」
天気予報を見てつぶやく、ふと時計を見ると朝の十時だった。
「もうこんな時間かよぉ、早く準備しないとなぁ」
『……宮ノ下町で殺人事件が発生しました』
「へ?」
俺はテレビ画面を見る。
そこには俺の住んでいる町、宮ノ下町が移っていた。
殺人事件だと? また参加者がやられたのか?
『この宮ノ下町では今月に入ってもうすでに四人も死者が出ています』
「マジかよ」
『現場付近では犯行時刻、一件を除き青髪の女性が目撃されていますが詳細は不明です』
『警察ではこの女性を一連の事件の重要参考人として……』
「どうなってんだよ」
四人とも……参加者か?
もしそうなら俺と聖五を抜いて後四人だけど・・・
『なお、二件目に起こった事件では現場に9/10と書いてあったのですが他の現場では発見されていません』
何? 単に七壬さんを殺したのと違う奴がやったのか? それとも……
「あ〜、もう」
俺はリモコンでテレビの電源を切った。
「考えるのは止めだ、俺は残った奴全員の聖具をぶっ壊す、以上!」
さてっとカラオケ行く準備しなきゃ行けないし、真紅を起すかぁ

<SCENE049>・・・昼
えっと、聖五ってこんなに唄うまかったっけ?
「イヤーよかった、やっぱこの曲は二人で歌わなきゃな」
「そうっすね、先輩! って皆さんどうしたんっすか?」
レヴェルが違いすぎるんですが……
「聖五ってもっと下手じゃなかった?」
「一人で歌えばそれなりなんだが」
「二人で歌うって事は相乗効果でうまく聴こえるんっすよ」
「それにしても、さすがだな……声楽部」
「まぁな、ってか紅蓮、お前も才能はあるんだから入りゃいいのに……」
「いや三年のこの時期から入ってもなぁ……」
「そんで、次は誰だ?」
「私よ!」
冬音が立ち上がった。
で、結果は一曲目採点機のはじき出した点数は――
俺・・・・・・・・・・・・・・・・85点
真紅・・・・・・・・・・・・・・83点
聖五・永十ペア・・・・96点
冬音・・・・・・・・・・・・・・79点
翔ねぇ・・・・・・・・・・・・80点
「つか……96点って」
で二曲目――
俺・真紅ペア・・・・・・82点
聖五・・・・・・・・・・・・・・89点
翔ねぇ・・・・・・・・・・・・83点
冬音・・・・・・・・・・・・・・84点
永十君・・・・・・・・・・・・85点
「やっぱ二人ともかなりうまいんですけど」

<SCENE050>・・・夕方
で飛んで十二曲目(最後)
永十・・・・・・・・・・・・・・93点
翔ねぇ・・・・・・・・・・・・81点
真紅・・・・・・・・・・・・・・84点
冬音・・・・・・・・・・・・・・87点
俺・・・・・・・・・・・・・・・・91点
聖五・・・・・・・・・・・・・・98点
「くっそー最後まで聖五に勝てなかったぁ!」
「あきらめろ実力の差だ」
「ふー久しぶりに羽伸ばせたわ?」
いや翔ねぇ、一昨日の俺の家での出来事は?
「もう声でない」
「日ごろの訓練のおかげでコレくらいならまだ後4〜5時間はいけるっす」
「90点台でなかったよぉ〜」
真紅が落ち込んでいる、まぁ俺だって90点台出したのは二回だけだし……
夕焼け道を歩いていく。
早くしないと日が沈んでしまう、いや沈んでも問題ないけどね?
で……完全に日が落ちてしまったところ辺りで――
「じゃあ私はこっちだから」
「じゃあな」
「気をつけてな!」
「私が襲われると思う?」
「いや、まったく」
「なによ! その言い方、ふん」
そういいながら冬音は走っていった。
さらに歩いていくと――
「俺もこの辺でさらばっす」
「気をつけて帰れよ!」
「わかってるっす、それじゃあまた今度っす」
永十君も走りながら夜道に消えていった。
その後四人で目的地、まぁ家の前まで帰ってきた
「じゃあな紅蓮」
「おう、また明日な」
俺達は手を振りながらそれそれの家に入っていった。

<Interlude-永十->・・・夜
先輩達と別れて家に向かって走っていた。
「暗いのはあんまり得意じゃないんっすよね」
ぼやきながら走っていく。
――が突如冷たい感覚、殺意が自分に向けられていることに気付いた。
「誰っすか!」
振り返るとそこには青いロングヘアーの女性が立っていた。
そして……その人から、あきらかな殺意を読み取った。
いや……そんなもの読み取らなくても――
その手に握られた剣のようなものを見れば一目瞭然だった。
この人がこの町で起きている殺人事件の犯人なのだろう。
「四人目……あなたは私を楽しませてくれるの?」
明らかな殺意、しかし目は死んでいるように見える。
剣を引きずりながら一歩ずつ近づいてくる――
そして、女性は剣を振り上げた――
その剣を振り下ろされれば俺は死ぬだろう――いや殺されるだろう。
なのに俺はこんなにも落ち着き払っている。
――いや怒っている。
だってこんな奴に四人もの罪もない人が殺されたんだから。
剣が迫ってくる、でも怖くはない……理由はただ一つ
「《永遠》いくっすよ!」
俺も……同じ力を持っているんだから!
俺の手には仲間、いや共に戦う力《永遠》という名の剣が握られた。

to be continued・・・

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