‡小説‡
嵐でも、台風でも…(4)
「やっぱり危ないんで、今日ウチに来るのは止めにしましょう10代目」
と、連絡したのは、もちろん綱吉をこの豪雨に曝すわけにはいかないからだ。
しかし…
理性とは裏腹に、本能では
「会いたくてしょうがねぇ…」
もちろん、綱吉を危険な目に遭わせるわけにいかない。
自分の判断は間違っていなかった……と思う…が!
間違っていなかったとは思うが、早くも絶望的なまでに後悔していた。
獄寺も、今日の綱吉のお泊まりを楽しみにしていない訳はなかったのだ。
楽しみすぎて、冷蔵庫がパンパンになる程に、食材を買い漁ってみたり、綱吉専用の洗面具やら寝具やら揃えてみた程に。
「10代目…」
会いたくてしょうがねぇ…
こうなったら、自分から会いに行くべきか?
いや、でも自分から断っておいてそんな事出来るか?
しかし、会いたくてしょうがない。
1人悶々とのたうち回っていると、
『ピンポーン』
玄関から、思いも掛けない電子音が響いた。
だるそうに玄関まで行くと、覗き穴から見えるのは、見覚えのある、決して見間違いようのない、愛しい人影。
慌ててドアを開けると、そこにはずぶ濡れの綱吉が立っていた。
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