‡小説‡
『還るべき場所』(8)
『あ…起きた?獄寺君』
『珍しいね…キミが俺より寝過ごすなんて。』
『よっぽど疲れてたんだね…』
『だから、ちゃんと休んで!って言ったじゃない』
『俺の体調管理は、バッチリしようとするくせに!』
『どう?少しは良くなった?』
「………はい…」
『そっか!……じゃあ、そろそろ皆も起き出す頃だから…』
「……はい…」
『…戻らなきゃね…』
「…はい…」
『いつも、俺の所に来てくれて…ありがとね…』
「…はい…」
『あんまり山本とケンカしちゃダメだよ』
「それはムリです」
『あはは…』
目が覚めた俺は、愛しい香りに包まれていた。
ベッドを整える為に布団を捲ると、
『フワリッ』
再び甘い香りが鼻を擽る。
俺は、大事なこの部屋の鍵を握り締め、写真を1枚懐に偲ばせると、部屋のドアまで歩いていく。
「10代目…。これは…俺の『秘密』でも…良いですか?」
『もちろん!
その鍵は失くさないように、預かっておいてね!
…隼人…』
「はい。…綱吉さん」
『…バタン……』
俺は、命よりも大事な秘密を1つ、胸ポケットにしまうと、静かに秘密に蓋をした。
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