‡小説‡
『還るべき場所』(3)
「よう!おはよーさん!!」
『バシンッ!』
「ぃたっ!!」
「痛てぇ!!」
陽気な声と、背中に走る軽快な音と共に、爽やかな笑顔が写る。
「ィテテ…。おはよ!山本。」
「てめぇ!この野球バカが!!加減ってもんを知りやがれ!!
果たすゾ!!」
「わぁっ!!獄寺君!
果たさなくて良いから!!!
ダイナマイトはやめてぇ!」
いつもの会話。
いつもの風景。
俺達はいつも一緒だった。
それが当たり前だった。
それがとても気持ちの良い空間だった。
例えば、それはツナの気持ちがハッキリ獄寺に向いている事が分かった時も。
例えば、それはツナと獄寺の関係が友達とは違うモノに変わったとしても。
ツナが自分をある意味1番だと思っている事が分かっていたから。
『友達』として1番に見ていてくれている事が分かっていたから。
それが、嬉しかった。
そして、獄寺の隣で倖せそうに笑うツナを観るのが好きだった。
愛情とは違う『情』。
比較的、愛情にも良く似た『情』。
家族にも似た『情』。
心地良い『友達』という関係。
「なぁ。俺さぁ、ツナの事好きだわ。」
「んなっ!?////」
「…っ!!!てめぇ!」
2人の思った通りの反応に顔が綻ぶ。
「おぅ!
2人共、めちゃくちゃ大事な友達なのな!!」
「(あ、あぁ!そういう意味だよね!! 獄寺君の事で、ちょっと過敏になってた。ひいぃ!恥ずかしい///)」
真っ赤な顔で伺い見てくるツナ。
思いきり笑顔で答えると、ホッとしたように笑顔を向けてくれる。
「オレも、山本の事好きだよ!」
「なっっっ!!!」
「マジで!?
じゃあ俺等、両想いなのな!」
「あはは…。」
「っ…!!!てめぇ〜…」
「わっ!わっ!!
獄寺君!ダイナマイトはしまって!!」
「じ、10代目ぇ〜(涙)」
分かってねぇのな、獄寺。
ツナの俺への気持ちと、お前への気持ちは、全然違うからこそ、俺に対して簡単に「好き」って言えるんだぜ?
お前への想いが特別な分、なかなかツナがその言葉を言い出せないでいる事。
俺は気付いちまったからなぁ〜。
だから、お前らの関係が特別になるまでは、このくらいの意地悪は、許してくれよ?
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