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‡小説‡
『還るべき場所』(1)





「10代目!おはようございます!!」

「おはよう!獄寺君。」



「10代目!どうぞ!!」

「ありがとう!獄寺君!」



「10代目!」

「何?獄寺君。」



「10代目!」

「10代目!」


















貴方に出会ってから…

あなたを呼ぶ度に、貴方が俺の名を呼んでくれるから俺は自分が存在していると知った。


貴方が居てくれたお陰で、俺はこの世界に存在するのだという事を認識できた気がするんです。








「10代目…」


「どしたの?獄寺君。」


貴方の琥珀色の瞳に俺が写っているだけで、こんなにも倖せな気持ちになるんです。



「10代目…。俺と出会って下さって、ありがとうございます。」


「えっ?」


俺が笑うと、みるみるうちに紅くなっていく10代目。


「お、大袈裟だなぁ!
もう…」


真っ赤になって俯いた10代目は、何故かなかなかお顔を上げて下さらない。


「じゅ、10代目!?
すみません!あの、俺、困らせるつもりじゃあ−…!」


お顔を上げて頂きたくて、肩に手を触れようとした時、その手は10代目のお手に掴まれた。


「10…代目…?」


「…獄寺君…。
『出会ってくれてありがとう』なんて…
そんなの、オレの方こそだよ…」


「え…?」


俯きがちに顔を上げられた10代目の瞳には、うっすらと涙が滲んでいる。


「す、すみません!10代目!!
そんなにお嫌でしたかー!!」


「な、何言ってんだキミはー!!
嫌だなんて、言ってないだろ!!

むしろ、オレはキミが居てくれたお陰で、やっと…!」


「(ズッ…)…?」


涙目になっている俺に、10代目は照れくさそうに笑って下さった。


「やっと、俺は独りじゃなくなったんだから!

俺の処に来てくれて、ありがとう。獄寺君」




夕陽に染まる10代目の優しい微笑みに、優しい言葉に、なんとも言えない思いが込み上げてきて、思わず…


「10代目!!」


と、抱き締めたら、


「なにすんだ!キミはー!!!」




案の定、殴られた。







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