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俺のかぞく(TF3ヨハン)

俺の家族、宝玉のルビー・カーバンクルは、何故か水鶏を異様に好いている。
別に水鶏は十代の様に精霊を見えるでも、ましてや精霊のカードも持っている訳でもない。なのに、ルビーに――精霊に好かれているんだ(万丈目も同じだって?)(いや、似てる様で似てないんだよ)


「おぉい、水鶏!ルビーを返してくれよ!」

早朝。まだ起きている人物も斑な時間帯。俺は迷惑だろうと思いつつも、未だ夢の中にいるだろう水鶏の部屋のドアを叩いた。こういう時、同じ寮で良かったと思う反面、防音が完備された室内と結構頑丈なドアに眉間に皺が寄る(手が痛いんだよな)
どんどんと大きなノック音は廊下に響き、叩いてもいない部屋の主人が寝呆けなまこで迷惑そうに視線を細めて俺を睨んでくる。が、今は謝ってる時じゃない。俺の大切な家族を取り戻すんだ。謝罪なら後で幾らでもしてやる!

「……ヨハン、周りに迷惑」

「お、あ、うん、分かってる」

静かに開いた目的の人物の部屋のドア。ゆっくりと開いた先には、こちらも眠そうに目蓋を擦りながら、シャツとパンツと云うラフなスタイルで顔を出した目的の人物、水鶏。伸びたと言っていた、肩より長い濃い藍の髪は普段と違い下ろされ、細い頬と首筋に更に影をさしている。本校の男子の制服は女子と違い、きっちりとした物だからか、こうしてだらしなく着くずした水鶏にちょっと驚いてしまった。つか、なんかイヤに艶やかなんだけど(男に艶やかなんて)
眠そうに欠伸を噛み殺した水鶏が、ぼけっとつっ立ったままの俺になにか用かと視線で促され、俺は何故こんな朝っぱらから水鶏の下に訪れたのか思い出した。

「そうだよ!ルビー!」

「……ルビー?お前の家族の?」

「そうそう!今朝デッキ見たら居なくなってたんだよ!だから絶対、水鶏の所に来てるって思って……っ!」

朝、外が未だ暗い時間に目を覚ました俺。何時もならルビーが起こしに来てくれるのに、何故か今日は起床時間より前に起きた。別にそれだけなら構わないんだけど、問題はその後だ。これまた、こちらも俺が先に起きたら嬉しそうに俺の前に現れて朝の挨拶をしてくれるルビーが、何時まで待てども来ない。不信に思い、何時も家族を大切に置いてあるテーブルにどうしたんだ?と声を掛けながら近寄れば、なんとルビーのカードが俺のデッキから姿を消していたんだ!

「………あ、いや、うん。確かに家族が突然姿を消したら驚くな」

事の説明を若干、つかかなり感情を込めて説明すれば、水鶏は呆れた様な表情で、皺を寄せた眉間を押さえた。そうなんだよ、俺、すんごく驚いて、心配で来たんだ!
そう悲痛な今にも泣きそう(実際迷子になったけど頑張って来たんだ)に、目に涙を溜めて水鶏の細い肩を掴んで前後に揺らしてルビーを返して!と俺は叫んだ。そうなんだよ、俺はルビーが居なくちゃ……みんなが居なくちゃダメなんだよ!

「うん、でもな、ルビーはカードだぞ?」

「なっ!水鶏まで俺の家族をバカにするのか!?」

「最後まで聞け、バカアンデルセン」

俺の声が煩いのか、水鶏の柳眉が潜められ、両手を耳に充てて迷惑そうに見上げてきた。

「いいか、別にヨハンの家族をバカにしてはいない。ただ、ルビーはカードだと俺は云いたいんだ。分かるか」

「あぁ」

「そのカードが精霊界でもないのに実体化して、自由にカードから出て動き回って、カードを自分の意志で動かせるのか?」

「動かせない」

「お、お前……」

即答した俺に、今度こそ水鶏の目が細められた(あ、やばい。これは本気で怒ってる)

「ヨハン!勝手な憶測と思い込みで俺の眠りを妨げるな!!つか昨日十代と夜遅くまでデュエルしてただろうが!」

「あ、そういえば」

ならルビーは今、十代の部屋に居るって事か!可哀相に!一人で淋しくて心細かっただろうな!(ハネクリボーと遊んでるかもしれないが)
そうと分かれば善は急げ。日本人はいい諺を作る。その言葉を体言しようと水鶏の肩から手を離し、踵を返した瞬間


「謝罪の言葉も無しかヨハン・アンデルセン」

「いや、本当、疑って悪かったって。みんなも悪ぃな」

騒いで煩かっただろう俺に向けられる視線全てを見回し、軽く頭を下げながら謝罪。ぐいっと後ろ襟を捕まれた態勢のまま、最後に水鶏に振り向いてなんとも情けない笑顔で謝れば、大きなため息一つ。イヤ、本当ごめん。

「さっさとルビーを迎えにいってやれ」

「あぁ、本当悪かった!今度ドローパンでも奢るから!」

俺の言葉に優しく、本当に女の子だと見間違う眉尻を下げた微笑み一つ見せ(男なんて勿体ない)、水鶏は楽しみにしてるよと部屋に消えていった。
神様と云う存在が実在するなら、どうして水鶏を男として産まれさせたのか甚だ疑問に感じながら、俺はルビーが待っているだろう十代が居る、レッド寮に走っていったのだった。









まぁ、五分後

「水鶏ぁ!俺、レッド寮に一人で行けねぇ!助けて!」

「あぁ、もう!なら十代に来て貰え!」

そう繰り返す事態になるのは明白なんだけど。

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