小説[*R18*]
9
「これ…何…?」
「ん?何がだい?」
飄々と問い返す男に、エドは苦々しげな表情を作る。
「すっとぼけんな。甘いモン嫌いなアンタが、どういった心境の変化でこんなに口ん中を甘くしてんだよ」
「ああ、それは───今に解るよ」
簡単にそうとだけ答えたロイの科白は、正解だった。
突然、ドクンッと胸が脈打ち、鼓動が早まるのが顕著に分かり、エドは途端に不安に襲われた。
「な…ッ!?な…ッんだこれ…!?」
「あの夜も思ったが――無防備すぎるんだよ…君は」
せせら嗤う様なロイを睨もうにも、目に力が入らない。
その結果、熱に浮かされた官能的な眼差しがトロンと男に向けられ、余計にその欲を煽られる結果になってしまった。
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