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Accesses The Reality Cruelty
ウーパ
「私たちのギルドを抜けた理由は、そういうことか」
 いきなり襲ってきた空気読男……いや、これ女の声だ。えーとつまり……空気読女(くうき よめ)? がセイスにそう言った
「……おや、久しぶりですね、フェルさん」
「さっき会ったばっかりだろ」
「記憶力に薄いことには自信があります」
「持たなくていいから」
 ん、セイスはボケ役だったのか
ま、それより現状でも確認するか
 えっと、なんかこの女の子が上空から襲ってきた。そしてそいつはセイスと知り合いらしい
こんなところか
「んじゃ、これもう退散してもいいよね? あとは二人でごゆっくり」
「え、いや、お前」
「リョウスケさん、少しは察してくださいよ……」
 無茶言うな。お前らの会話の内容なんてもう一文字も覚えてねーんだから
「なんだよ。二人は知り合いで仲良しだから俺とクゥは邪魔者、ってことじゃないのか」
「……アホだな」
「すみません。今回ばかりはあちらに同意します」
「だいたい、私はお前を襲っただろうが」
 あ、それもそうか
「つまり、君はセイスに恋をしてて、近づく俺たちに嫉妬し「殺してやる、いますぐに」」
 ……ふむ
これ、なんかやばい状況なのか?
「できれば、平和的解決を望みみたいなぁ」
「それは無理な話だ。……お前らの話は聞かせてもらった。そいつは、バルハルトの子なんだろう?」
「あぅ……」
 ……あー、なるほどね
 理解した。つまり
「お前はクゥを狙っていると」
「そういうことだ」
「なら」
 俺はクゥを抱えあげて、後ろを向く
「逃げるが勝ち」
 第一、俺、安全が確保されてない勝負は人通しであまりしたくない
デュエルならいいんだが……
「逃がさないよ」
「セイス、あとまかせていい?」
「かまいませんよ」
「なら、逃げきる」
 見る限り、あの女の子は忍者だ
黒装束に身を包んでて、目しか見えねーし
「いくぞ、クゥ」
 ふつうじゃ逃げきれない
だったら
「ウーパ」
 自作技名を唱えた
ちなみにこの技名のセンスについてはなにも言うな。ウーパールーパーから取ったのは明らかだけど、ウーパールーパーにはまったく関係ないから
『認証しました。スキルを発動します』
 一回も使ってないからな、成功するかどうか……
「早めにこの街から逃げることをおすすめします」
 セイスのそんな言葉を聞いた瞬間、俺の視界は真っ暗になった

 ドラ○ンクエストって知ってる? あの世界的に有名なRPG
この世界さ……あれみたいな『ルーラ』の呪文がないくせに無駄に世界が広いクソゲーなんだよ
 だから、似たようなものを作ってみた
ルーラみたいに高性能じゃないけど。自分であらかじめ指定しておいた場所に瞬間移動できる。それが俺の自作スキル『ウーパ』
今回設定しといたのは街の入り口だ
「……ふぅ」
 スキル発動が成功したことを確認して、俺はクゥを地面におろす
今回は、あまり疲れがないな
 まぁ、移動した距離に比例して疲労度が高くなるわけだから、あたりまえだが
「あ、ありがとうございましたリョウスケさん」
「いや、うん……どーいたしまして」
 やっぱりお礼を言われるのは苦手だな……
「クゥ、先に光蛇たちと合流してきてくんない?」
「……リョウスケさんは、どうするんですか?」
 ……そりゃあもちろん
「セイスを、助けに行く」

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あきゅろす。
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