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Accesses The Reality Cruelty
モブキャラ復活
「……行くとこないなぁ」
「そうですねー……」
 適当な場所をいっしょに歩きながら、話す
「行きたいとこある?」
「特にないですね」
「そっか……」
 ……マジ暇だ
「あ」
 と、クゥが誰かにぶつかった
「す、すみません」
「……? おや、あなたは……」
「え……あぅ!?」
 と、クゥが俺の後ろに隠れてきた
「久しぶりですね、リョウスケさん」
 ……えーっと
「誰だ」
「忘れたのですか? ほら、第一章に出てきたあの魔法使いですよ」
 なんだよ第一章って。意味わからん
「セ……セイス」
 クゥが、そう呟く
……セイス? セイスセイスセイスセイス……
「あ、あのモブキャラか。やられキャラか」
 ……そして、クゥを狙ってたやつの仲間
「思い出しましたか。久しぶりです。その件はどうも」
「ぁぅ……」
「……随分と嫌われてるな、セイス」
 俺は少しだけ敵意を込めながら、そう言う
「あの時もクゥは凄くおびえてたけど……あんた、俺たちが助けるまでクゥにどんなことをしてきたんだ?」
「……先に謝っておきましょう。すみませんでした」
 ……く、やっぱりこいつ良いやつじゃね?
この流れだとこいつ『あんなことはしたくなかったんです』とか言いそうだな
「僕は悪いことをしていた。モンスター退治を専門とする、僕の所属するギルド……そこは神獣と呼ばれるモンスターたちを倒すこと……いえ、言葉を偽るのはやめましょう。殺すことを主な目標としていました。だから僕は、それに従っただけだった……」
「……続きをどーぞ」
「けれど君のその子を守る姿を見て、いくらバルハルトの子と言えど、人と争わないモンスターは、やはり人と同等であるべきだと、僕は思えた。人に受けいれられぬ半モンスターならば……なおさら」
「……」
「ですから、もう一度謝らせていただきます。僕はもう、ギルドを抜けた。だからこそ個人的にクゥさんに謝りたい。……いいでしょうか」
……良いやつすぎんだろ!
「クゥ、どうする?」
 とは言え、相手は一度クゥを傷つけた相手だ。俺が許すわけにはいかない
「……だめ、です」
「……そうですか」
「でも……」
 と、クゥは俺の後ろに隠れながらも……おそるおそる、手を前に出した
「仲直り……なら……しても、いいです」
「ぇ……あ……あり、がとう……クゥさん」
 そしてクゥとセイスは、握手を交わした
 ……クゥを抱きしめたい気持ちだ
なんつーか……変態的な意味じゃなくて、この優しさに惚れたというか……
 いや違う! そーゆーロリコン的思考じゃなくて……
……ほほえましい? そうだ! ほほえましい光景だからだ!
 もしここで、ならなぜセイスさんにも抱きつく考えがないんですかなどと思った奴は地獄の底に落ちろ。男より美少女のほうがいいだろが
 ……あぁだめだ。説明するだけ無駄だ。俺がどんどん変態に見えてくるだけだ。もう考えるのやめよう、うん。そうしよう
「っ!? リョウスケさん!」
 と、いきなりセイスに叫ばれて反射的に腰の黒い方の小刀ーー確か……世絶?ーーを抜いてしまう
「なん」
 だよ、と言うより先にそれに気づく
襲撃だ
「っと!」
 いきなり上から襲いかかってきたそいつに向けて、小刀を振る
するとそいつはクナイみたいなものでそれを弾き、俺から3mくらい離れたところへ着地した
「空気読めよ」
 白い方ーー夢幻だったっけーーを抜きながら、そう言う
クゥは相変わらず俺の後ろだ
 ……こんなに臆病だったっけ、クゥって
「誰だよ、空気読男(くうき よめお)か?」

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