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Accesses The Reality Cruelty
心配

 夢を見ていた
もうひとりの自分が、人を笑いながら殺している夢
最悪なことにそれは第三者の目線ではなく、そのもうひとりの自分の目線だった
 ……悪夢だ
自分の体が思うように動かない
 勝手に動いて、人を殺す
そんなことは絶対に、したくないのに……
 なのに、涙さえ出せない
…………俺は、いったい……………………なんなんだ?


「……ケ」
 ……
「リョ……さん」
 ……聞き覚えのある声だ
「おい…………すけ」
 ……みんなが、呼んでる?
どうして? 俺……? 俺を、呼んでるのか?

「……ん」
 目をゆっくりと開き、起きる
「……あ」
 動ける……のか?
ちゃんと、俺の思い通りに?
 ……よし
「コーヒーを1っぱ「霊介!」」
「え、ちょ」
 いきなり巳依が泣きながらコーヒーを差し出してきた
えーと……なにコレ
 前回はベッドの後ろ側にクゥがいたりしたわけだが……
今回のは何なんだ。寝起きにはキツすぎる難題だぞ
 まぁ、とりあえずコーヒーを貰う
「どうも」
 飲んで、とりあえず一息
よし、そろそろ状況を整理しよう
 巳依のことだから、俺が苦手を克服しようと日々頑張ってコーヒーを飲んでいたことは知ってるはず。いま飲んだのも、実はまだ苦くて水の方がおいしかったり
で、それを寝てた俺に用意してくれてた、と
 ……なんで寝てたんだっけ
「あ……」
思いだし、思わず声を出した
「大丈夫。あいつらは退き、こちらは全員無事だ」
「……よかった」
 とりあえず一見落着っと
「よくない!」
「え?」
 反発したのは、初めから泣いていた巳依だった
「お前、自分がどれだけ眠ってたのかわかってるのかー!」
「……いや」
「お前は十日以上、ピクリとも動かずベッドの上だったんだぞ! それを良かった良かったって……いつも他人ばかり気にして……少しは自分を大切にしろ……!」
「ぇ……」
「お前なんかもう知るか! 勝手に一人で死ねばいい」
 ……初めてだった。巳依にそんなことを言われたのは
 いや、違う。誰にも言われたことがなくて、初めて言われたんだ
……この世界は死が溢れている
 だからいつも以上に俺は周りに心配をかけて、逆に心配されてしまったのかもしれない
……俺は無視せず、言う
 こういうことは無視しちゃいけないんだ
「ごめん。ありがと」
「……ごめんで済むか、バカ霊介が……」

「そーいや、レミリナはどこ行ったんだ?」
 動かしていなかった体を解していたら、思いついて蒼都に聞いた
「どこかに行った。確か……北に行くとかなんとか」
「ふむ」
「そこで霊介、ひとつ相談があるんだが」
「それにしても、ホントに体が鈍ってるな……」
「北にはMSCの本部があるから、これをそこに届けてほしい」
「まぁ、旅の再会は明後日だから適当にリハビリしますか」
「この封筒は魔法で加工されてるから簡単には破れない。引き受けてくれれば、コーヒー用のマイカップとかをあげ「やるか、それ貰った」」
「……助かる」
「それでその本部は、北のどこにあるんだ?」
光蛇がいつのまにかいて、蒼都に聞いていた
「水の都、ミルノス。北でもかなり有名な街だ」
「なるほど。そこには使者は送ってないのか? 前に、世界中に仲間がいると言っていたが……」
「MSCとはまだ同盟を結んでないからな。そんな関係で、無闇にMSCのある都には……な」
「なるほど」
 とりあえず次の目的は、そこに行くことになりそうだ


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