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Accesses The Reality Cruelty
退却
 ダークフェニックス、か
こいつから感じ取れる力は、前に戦った魔神……エヴォルノと酷似していた
 そしてそれは、この巨鳥が魔神だという証明
「……霊介は大丈夫なのか?」
 俺は巨鳥に体を向けながら、後ろにいる二人に声をかけた
「あ、うん……大丈夫だと思う。髪も目も元に戻ったから……」
「でも、気絶をしてしまいました」
 ……なるほど
状況を理解し、少しだけ俺は考える
 正体不明の職業、あちらがわの世界から来た者だけが扱えるデータスキル、そして、人間には到底扱えない魔王の力……
霊介は、相変わらず常識を逸している
 もしかしたら、本当にこいつなら救世主に……?
いや、過度な期待はやめるか。いまは目の前のことに集中だ
「……魔神と互角にやりあっていた、あのサムライくんかな」
「ああ」
「なるほどね、その力は本物だったみたいだ。ダークフェニックスも、斬られて痛がってる」
「……」
 データスキル《ステータスコピー》
それが俺の授かった力だ
 便利……とまでは言い難いが、俺にとっては都合がいい力
戦っている相手のステータス全てをコピーし、スキルを現職業に合うものに再変換する力
 戦闘にかけての技術だけが駆け引きとなる力
これ、実は自動発動なのでさらに困る
 相手がLv1だと、こちらもLv1で、STRなどの数値まで同じになる
霊介との勝負でも使っていた。というか使わないことができなかった
 つまりあいつは、本当は俺くらいに速く動ける……いや、違うな
俺以上に速く動けるはずなんだ
けど、それをしない
 それは、あいつは自分に合った『戦い方』がわかっていないからだ
だからそれを、俺はメモして装備品を渡すときにいっしょに渡してもらった
 ……それはそうとして
「戦うのか? だったらすぐに始めよう。俺は魔神を倒し、お前を拷問する」
「……お兄がいるのに、そんなことできるの?」
「世界を救う情報を得るのに、手段は選ばない。達成できれば、それでいい」
 これは、演技だ
相手を退かせるための演技
 まだ倒れている仲間は全員生きてるみたいだからな。こんなところで派手に戦えないし、勝つには一人では無理だろう
 以前魔神と手合わせしたときも、ステータスは同じはずなのに互角には戦えなかったからな
「あは、君とは良い友達になれそうかな」
「なる気はないな」
「くふふ……それならボクは、退こうかなぁ」
「……」
「魔神にあんまり傷をつけると、怒られちゃうし」
「だったら俺は……」
「傷を負わせてから退かせようとしても無駄だよ。君が見ている『それ』は、もう現実じゃない。幻だからね」
 その声が聞こえた瞬間、空にいたはずの魔神とリノさんの姿が突然見えなくなった
「……」
 ……街と城の修復は、難しそうだな
まぁこの世界では、大工という職業の人が家の構造を細かく書かれた紙を、作り出した魔法陣の上に乗せて魔法を唱えるだけで家が建つが……
……便利だよなぁ
「それよりいまは……」
 みんなを回収しないとな


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あきゅろす。
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