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Accesses The Reality Cruelty
『俺』と『俺』
 体が熱い
凄く熱い。火傷をしそうだ
 ……体の中に、大きな力を二つ感じた
ひとつは、データスキル。全てを取り込み、無限に強くなれる力
 もうひとつは……なんだ?
「……わからない」
 でも、いい
そんなものはどうでもいい
 力があるのなら、どーでもいい
「……なんだろ、いまの」
 リノがこっちを見おろして、そう呟く
けど今は話をする気ないから、いつも通り無視
 ただ俺は、体の中に眠る二つの力を解放する
「オォァアア!?」
 ……なんだ、いまのは?
……こいつの言葉の意味が……わかった?
「オァアア? (人間……なのか? こいつは)」
「そうだよ」
「……オオォアアア!! (……魔王の力を持つ人間! これはおもしろい!)」
「魔王……?」
 よくわからない。なにを言ってるんだ、こいつは
「オォォァアアアア (干渉を受けた人間か。もしや、生き残るとはな)」
「知るか」
「……」
 と、リノは俺と巨鳥を交互に見たあと、言った
「こいつを、殺して」
「オォァア (いいだろう承った)」
「いいや、それはさせない。なぜなら俺が……」
 俺はその理由を口にする
俺のこれまでの生き方全てを否定する言葉を
 迷わず、ただ感情のままに心の内に蠢く考えを
 自分が、自分でなくなる答えを

「俺が、お前らリビングデッドの全てを殺すからだ」

 殺す。その思いだけが、体を駆け巡っていた
……なんだよ、これは
 こんなのは、俺じゃない。俺はそんなことを思わないはずだ。いままでも、そうだった
なのに……なんだよ、これは! 何度も……何度も何度も何度も、頭の中で……なにかが……
 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……って、呟いてる
違うだろ。俺は……誰も傷つけないために……みんなを、守る……ために……
 なのに俺の体は、意志に反して勝手に動く
「だから俺は、まず、いまからお前ら二人をころ……」
 『俺』は思い切り血が出るほど拳を強く握りきり、口を開けた
「ああああああああああああああ!!! 違う! 俺は……みんなを、まも……」
 だが『俺』は、それを遮って言う
「相手の全てを殺せば、みんなを守れる。だから殺す。立ちはだかる者は全て……」
 違う! 違う違う違う違う違う!!
「……オァアアアアアアアア!! (……人間の魔王は、ここで終焉だ)」
 ……巨鳥は丸くなり、その周りを立体の魔法陣が駆け巡る
「オァアアアアア!! (シネ!)」
 そして漆黒の爆発が……

「おい、そこのクズ鳥。こっちを見ろ」

 爆発ごと巨鳥が、巨大な斬撃に斬り裂かれた
「リョウスケさん!」
「リョウスケ……!」
 思考が爆発して膝をついていた俺に、誰かが駆け寄ってくる
「ぁぅぁ……クゥ……ルー……ちゃん……?」
 ……それに、蒼都?
「大丈夫!? リョウスケ! 目も黄色いし……髪も銀色だし……」
「リョウスケさん! 聞こえてますか!?」
 ……聞こえる。意味は、よくわからない。読みとれない
意識が、遠のいていく……
 ……だけど俺は、ひとつだけ
たった一言だけ、呟く
「…………ごめん……」



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