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Accesses The Reality Cruelty
約束

 約束をした
大切な、約束を
 ……私は昔、いじめられていた
両親がそう仕組んだんだ
 兄には孤独を。私には差別を
両親にとって、私はただの邪魔ものだった
 必要とされているのは、兄の『才能』だけだった
……兄は、私の唯一の心を許せた人だった
 私はいじめられていたけど、それを兄に言うつもりはない
兄に心配をかけたくなかった
 ……でもやっぱり、私には無理だった
 私はいじめに耐えられず、隠れて泣いていた
この苦しみがなくなることはない
それはとても辛いことで……たったひとつの頼れる場所にも、頼れなくて……
 結局は、私は一人だったんだ
……でもある日
 彼が……霊介が、助けてくれた
彼は、言う
『辛いの?』
私は答えた
『辛い……凄く、辛いよ』
 泣いていた、私は
見ず知らずの少年の前で
『それを、どうしたいの?』
『……?』
『どうしたいのか、君には答えがあるはずだよ? 自分の思いが』
 ……兄に、頼りたかった
でも、だめなんだ。兄も苦しんでいるのに、心配をかけたくない
『できないよ……』
『どうして?』
『大切な人に、心配をかけたくない……』
 結局は、そうなんだ
私はずっと、泣いているしかない……
 そのはず……だったのに
彼は、言った
『なら、僕が君のそばにいるよ』
『……え?』
『守るよ、君を』
『どうして……どうして、初めて会った人に、そんなことが言えるの……?』
『……みんなが苦しむのは、見たくないんだ』
『……』
『うーん、信用できない?』
『うん』
『即答かぁ』
 彼は、笑う
『なら、約束をしよう』
『約束?』
『僕は、君のそばにいて、君を守る。それができなかったら……針千本飲むよ』
『……あはは』
 私は笑っていた
まるでプロポーズみたいな言葉を聞きながら
『指切り』
『うん』
 私たちは小指を結び、いっしょに言う
『『指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます、指切った』』
 ……彼は、本当に言うとおりにしてくれた
学校は違うのに、いつも助けにきてくれていた。ピンポイントで
どうしていじめられてたのがわかったのか聞くと
『勧』
って、答えた
 ……私は、霊介といる時間が凄く楽しかった
兄の不安も打ち消してくれて、感謝してもしきれなかった
 ……私は、もしかしたら……兄の言うように、彼が好きなのかもしれない


「魔神……」
 門の向こう側に見える、黒い巨鳥を見て、私は呟く
前に戦った魔神は、黒い人型の巨獣だったのを覚えている
 そして今、目の前にいる黒い巨鳥の名は……
「ダークフェニックス」
圧倒的な存在感。体がそれを拒絶して、見ることすら嫌になる
「オォォァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 再び、そいつが吠えた
その直後、巨鳥は口を開き、その中に……なにか黒い渦が形成されて……
「え……」
 なに……まさかあれ……
「ブラックホール……!?」
 そいつはそれを、躊躇なく軍と私たちに向けて撃ち放った

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あきゅろす。
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