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Accesses The Reality Cruelty
輝いてる

 最初は嫌いだった
私の言うことを全て無視して……こんなやつは死ねばいい、とも思っていた
……でも、子供の頃からそういう感情を抱いていたのがだめみたいだったんだ
 私はみんなに冷たく当たり、みんなは私に冷たく当たった
彼も……霊介も、相変わらず私を無視する
 それら全てを見て、私は思った
みんな私が嫌いなんだ。私はここにいるべきじゃないんだ。私は、いなくなった方がいいんだ
 本当は臆病なだけだったのかもしれない
相手の気持ちを……母さんの気持ちさえも確認しなかったのだから
 私をずっと一人で支えてくれていたのに……
私は少し、周りよりさきに精神が育ってしまっていたみたいだった
 私は決めた。もう周りとは関わらない。ただ自分の思い通りに、やりたいように生きるって
 ……そう思うだけで、なぜか涙が出た
そんな私を……泣いていた私を、霊介は見つけた。見つかってしまった
 でもどうせ彼は私を無視する。だって、嫌いなんだから
……そう思った。思いこんだ
 だけど彼は、違った。初めて自分から、彼は口を開いた
『……寂しいの?』
『……お前には関係ない』
『悲しいの?』
『関係、ないだろ』
『……なにがそんなに、辛いの?』
『うるさい……』
『辛いなら、我慢しちゃだめだよ。……後悔しちゃうよ? もっと辛くなるよ、それでもいいの?』
『……お前は、私のこと、嫌いじゃないのか?』
私は、聞いた
『うん、嫌いじゃないよ。僕が誰かを嫌いになるなんて、ありえないよ』
『な……どうして……?』
『みんな、好きだ。みんなみんな、輝いてる』
『……輝く?』
『どんなに嘘とかついてても、偽りの仮面? みたいなのを被ってても、自分の本心は隠せない。ホントに自分のやりたいことをやるときは、すごく輝いてる。そーゆーの、僕、好きなんだ』
 ……なんて難しいことを言う子供だろう
いや、私も人のこと言えないけど
 後でわかった話だと、霊介は生まれた時から父親に難しい言葉を使われながら育ったらしい
『僕も、みんなみたいになりたい。自分の思った通りに動く。やる。そうすれば、きっと後悔なんてしない』
『……輝いてる、ね。お前も』
私には、できない
『君も、輝いてるよ』
『……え?』
『いっつもキツイ言葉言ってくるけど、それに嘘はない。凄く君は正直者で、どんなに言いにくいことでも、言えちゃう。僕は君も、大好きだよ』
『……えぇ?』
 顔が熱くなる
『でも、みんなが辛いのは嫌なんだ。だから君も、辛いなら正直になってみよ。きっとスッキリするよ?』
『……』
 私はその時、微妙な気持ちだった
……ただ、自分が少し安心してたのがわかった
 次の日から、私は昨日の彼が気になって、話しかけ続けた
でもまた無視され続けた
 私はムキになって、話しかけ続けた
霊介はかなり無視してくるけど、唐突に話しかけてきたりもした。それに、ホントは凄く優しかった
……そしていつの日か、彼が好きになった


「……サモン、ユニコーン」
私が宙に手を翳すと、羽が生えた馬が形成され、出現した
 それに、乗る
「あ、巳依ちゃーん! いっしょにいこー」
 後ろから、葵が呼びかけてきた
葵とはこの世界で出会ったのだけど、いつも元気があって自分に正直な人だ
 ……霊介は、そういうのが好きなんだっけ
「なんだ、馬は貸さないぞー?」
 もう一匹出せるけど
「だいじょーぶだよ、私は飛べるし」
そう言って、彼女は浮いた
 ……便利だな
「ほら逝くぞ? 葵」
「なんか今、漢字が違ったような……」
 とにもかくにも、私たちは城の軍と戦うために進み出した

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あきゅろす。
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