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Accesses The Reality Cruelty
連れ戻す

「な……!」
 いなかった
わからない。なにが起こった?
 俺は確かにレイボルに突っ込んだ。そして斬りつけた
……斬りつけた、か?
 いや、あいつは斬りつける瞬間に『消えた』。消えたように見えた
カカシの速度は、DEXがカバーして目で捉えることはできていた
 だがいまの動きは、まったく見えなかった
魔法じゃないはずだ。そんな感じはしなかった
「っ!」
後ろからなにかを感じて、右に思い切り跳ぶ
 STRやAGIがあったので思ったより遠くに跳んでしまったが、とにかく俺が元いた位置をふりむく
と、その瞬間

 ドゴゥォオ!!

強烈に光が弾けたと思ったら、俺がさっきまでいた位置の地面が50cmほど抉れ、地面にヒビが入っていた
 だが、その周りにはなにもいない
……いや、違う
 もう、移動しているんだ
俺は半ば勘で後ろにいると考えつき、剣を構え「フレイムスピン」と唱える
剣に炎が纏われ、体が回転する
 この剣は大きな炎のオーラを纏えると聞いていたが、どうやるんだ? 聞いておけばよかった
……いや、この戦いで体で覚えるか
 案の定、レイボルは後ろにいた
「キッ!」
 高い声をあげ、俺の不意打ちを軽く下がって避けた
……移動は速いのに攻撃速度は遅かった
 ……つまりこいつ、AGIは高いくせにDEXは低いのか
「カカシと言い、レイボルと言い……アンバランスなステータスのボスが多いな」
霊介がクソゲーと言うのも頷ける
「……本気で行くか」
 大きく息を吸い、俺は自己エンチャントをかける
「フレイムアップ」
 次、相手に攻撃が当たるまで炎属性の威力二倍
「バースト」
 VITとWIS(物理&魔法防御力)を1/2して、STRとINT(物理&魔法攻撃力)二倍
バーストは命の危険があっていままで使ってこなかったんだが……新装備も手に入れたなら、話は別だ
 そして最後に、召還魔法を使う
「フレイムモンスターLv3」
 二匹の炎に包まれた狼が、出現する
「……始まりだ」
そうして、このバトルは再び開幕した


「うーん、どこかなぁ」
 この地に魔神が封印されてるのはわかってるけど……城のどこかにいるのはわかってるけど……どこだろ
ちなみに、今は宝物庫から出たところ
「うーん」
 唸りながら、考える
「池の底とか?」
とりあえず確認しようと、城の庭園まで一直線に飛ぶ
 ちなみに、もう実体化していない
「よっと」
 とりあえず地に足をつき、池に近づく
 コイとキャラクター名が表示された魚たちがいるけど、無視して水深を覗きこ……
「……リノ」
「あは♪ お兄」
水面に反射して映るその姿を確認して、飛ぶ
 すると一瞬で走り込んできたお兄ことレート・ヴィレナドルマは、ボクの元いた位置に殴りかかっていた
だけどまだ安心できない
 ボクは右手をふりあげる
と同時にお兄は空をきろうとしていた拳を、ボクに向けて突きつけた
風が舞い、衝撃波がくる
 さすが、最強の吸血鬼、最高のSTRを持つボクのお兄
ちなみにこれ、どうみても手加減してる
ボクはその高速で迫る衝撃波を右手の手刀で斬りさく
「やっぱり、実体化してないボクにも攻撃できるんだ」
「アオトに貰ったんだ。この腕装備は、そういう効果がある」
 あの、魔神の唯一対抗できる力を持つサムライか
やっぱりアーミーは、早めに潰す計画を立てないとね
「それで、何の用かな、お兄」
「……わかるだろ」
「あ、もしかして、まだボクを連れ戻そうとか考えてるのかな」
「……」
「当たりかぁ」
 ボクはそう呟いて、目を細めた
「たかがお兄ごときの存在に、ボクのすることを止める権利はない」
「なんと言おうと、俺はお前を連れ戻す」

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あきゅろす。
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