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Accesses The Reality Cruelty
不快な感じ
「あの」
 俺は、はぐれて二人でいた兵士どもに、弱々しい旅人を演じて話しかけた
「なんだ」
「これはいったい、どうなってるんでしょうか。なにが起こってるんです?」
「おまえが知る必要はない。……どちらにしても、俺たちも詳しくはしらないけどな」
 ……王が脅されたことには気づいていない、か
「とりあえず、今この街は危険だ。全ての出入口を閉鎖してるし、宿も今、俺たち兵士がある人物を探して回っている」
「ある人物?」
「レミリナ・アヴァンストリーム。なんでも噂によると、『北の魔王』に関係があるらしい」
 ……北の魔王?
「北の魔王とは、いったいなんなんですか」
「は? おいおい、とぼけるなよ。そんなこと誰でも知ってるだろ」
「東西南北それぞれに、魔王が存在するんだ。まぁ、人間に危害を加えたりはしないから安心して良い。あいつらは確かに圧倒的に強いが、南の魔王以外はそこらの旅人とかみたく、気軽に生きてるからな。もしかしたら、俺たちももう会ったりしてるかもな」
……いることは知ってても、顔はわからないのか
「まぁ、その名の通り、北の魔王はこの街より北方向にいる確率は高い。東の魔王もこの街より東にいる確率が高い。そういう理由でそう呼ばれるようになっただけだ。……それより」
「……」
 そろそろ、か
「お前、おかしいな。全ての住民、旅人に家や宿に戻るように呼びかけたはずだが。かなり前に」
 話を最後まで聞く気はない
そんなことをしてればせっかくの隙を無駄にすることになる
そう思った俺は相手がしゃべっているのにも関わらず、霊介みたいに無視して斬りつけた

 聞き出した情報によれば、北に目立った大通りはなく、東にはたくさん存在するらしい
北のほうが遠いからな。少しラッキーだ
 運であるLUKの値は低いけどな
と、いま、俺は南東地区斜めを走りきって東地区へと到達した
「高いところを探そう」
とりあえず、どこかの家の屋根へジャンプする
 STRやAGIの補正があるのは、かなり良い
なによりいつもより体がうまく動くから、気持ちがいい
 そして俺は高いところを探そうと……
「……ビンゴか」
 軍のやつらが、一人もいない
それに、まったく物音がない
「……」
耳を、澄ます

 …………〜!

「あっちだ」
 少し北のほうから、バチバチと音が聞こえた
……それに、カカシをみた時に感じたのと同じ、不快な感じも少しあった
「……行こう」
 あのときとは違う、一人で挑む恐怖に駆られながらも、自分に言い聞かせるように呟いて走り出した

「いた、な」
大きな広場の中央……よりちょっと北にズレた位置にいた雷の塊のような光を、俺は見つけた
 カカシのやつと同じ気配
間違いない。あいつがレイボル
「……行くぞ」
決心し、俺はそいつに近づいていく
 近づくにつれてわかる。その雷の塊のようなやつは、あまり大きくなかった
形は……サルそのもの。大きさもサル。だがその強大な雷に包まれた体に感じる力に、俺は少しおびえずにはいられない
 よくゲームでボス部屋に行くとき『この先からは危険な気配を感じます』のような忠告をしてくるものがあるけど、あの気配がどういうものか、いまならわかる
 カカシのような攻撃力の弱いやつじゃない
それだけのことを考えるだけで緊張してしまう
……一応確認すると、頭の上にはレイボルと書いてある
「おい」
 俺は意を決して、声をかけた
そいつが、俺をみる
「お前を倒す」
「キキッ」
新武器、ドラゴンフレイムαを抜きながら、俺はレイボルへと突っ込んだ

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あきゅろす。
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