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Accesses The Reality Cruelty
タイムロック
「……」
 諦めない。俺は絶対に、諦めない

 HP残り、1ドットくらい
変わらない。今も攻撃を受け続けているのに、そのゲージは変わらない
 悪魔の爪が、魔法が、打撃が、体を直撃し続ける
痛い。でも、痛いだけだ
 ノアちゃんの鎌が俺を斬り裂く
それも、痛いだけだ
「どうして……死なないの……!?」
「……諦めないからだ」
諦めるな。意識を保て。意志を保て
 HPは『諦めるまで』だ。耐えろ、痛みなんて問題じゃないだろ。耐えろ、耐えろ耐えろ
「……Lvは、気分」
 今なら……なんでもできる。そんな気がするんだ
「タイムロック」『認証しました。スキルを発動します』
 時間が、止まる
世界全ての動きが止まる中で、俺だけが動くことが出来る
 まずは、二匹だ
俺は両手の二刀をそれぞれ一匹ずつに刺す
時間が、戻る
 そいつらは一撃で倒れた
……まだだ
「タイムロック」『認証しました。スキルを発動します』
 再び時間が止まり、俺は次の二匹を斬り裂き、さらにもう一匹を斬り裂く
時間が、戻る
 そいつらも一撃で倒れた
……まだだ
「タイム、ロック」『認証しました。スキルを発動します』

「はぁ……はぁ……タイム、ロック」『認証しました。スキルを発動します』
 最後の一匹を、倒す
時間が元に戻る。
 実際には10秒にも満たない時間だったはずだが俺にとってはその何倍もの時間感覚がある
疲労も、かなり激しい
「ま、だ…………」
一人だけ残っていたノアちゃんが、鎌を振りかぶる
「……タイムロック」『認証しました。スキルを発動します』
時間が、止まる
 俺はノアちゃんの鎌を大きく後ろに弾き飛ばした
時間が、戻る
「っ……!?」
「……」
「……まだ……だめ……《死神(ハデス)》を……倒さないと」
 ノアちゃんは、手の平を俺に向ける
「復讐……しないと」
「……」
……そうか
 こいつは、あの時の俺なんだ
具体的な理由は違っても、こいつは、あの時の俺がそのまま成長してしまった姿……そんなところだろう
「……」
なら、俺には、わかる
 こいつがどう思ってるのか
 こいつがどうしなきゃいけないのか
一歩、踏み出す
「来ないで……」
ノアちゃんが一歩下がる
 俺が一歩踏み出す
「っ……バースヴィズナ!」
 俺に向けていた手の平から、大きな闇の球が放たれた
俺はそれを、避けない
 俺はそれを、受ける

「……死ん、だ?」
 まるで不死身のような少年に、私は残り僅かなMPを振り絞って闇の大球を食らわせた
 煙が晴れ、様子が確認できるようになる
「っ……」
まだ、立っている
 どうして……死なないの
「……!」
 私は、暗殺部隊の一人が持っていたであろう落ちていたナイフを拾い、リョウスケという少年の元へ走り込んで、その体へそれを刺しこんだ

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あきゅろす。
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