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Accesses The Reality Cruelty
諦めない

去年の、夏。ちょうど今ごろだな……
 俺たちの家族は、電車で遠い親戚の家へ行くところだった
楽しみだった、友達のあいつは、面白い奴だから
……けど、俺たちは事件に巻き込まれた
 この電車に、爆弾をしかけてあるという電話が入ったらしい。もし電車を止めれば、爆発させる、って
最初は半信半疑だった。こんなテロみたいなこと、身近で起きるわけないって
でも実際、爆発は起こった
 電車の中は荒れて、レールから落ちたりもした
さらに地面に激突し、電車内は酷く混乱した
……母さんは、死んでいた
 頭がなかった。悲鳴すらあげていなかった
信じられない、信じたくない、でも目の前で起こっている
 父さんを、見る
……生きていた
 でも、だめだ。片足がない片手がない。出血が酷い
……苦しみ続けている。それを、見ていたくなかった
 目を逸らした先には、妹がいた
生きては、いた。でも、動かない。妹は、まったく動かない
「ぅ……ぁあああああああああああああああああ!!」
 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。認めない認めたくない……でも目の前にそれはある
確かに残酷な現実が、目の前にあった

 俺だけが、軽傷だった。少し頭から血を流していただけで、特に大きな怪我は見あたらない
 どうして俺だけが、ここにいる? どうして俺は、無事なんだ
母さんは死んだ。父さんも死んだ。妹は、ありえない奇跡でも起こらない限り助からない、重傷
……そんなとき、塞ぎ込んでいた俺を励ましてくれたのが、あの二人だ
光蛇は言った。『お前の気持ちは、俺にはわからない。けど、俺の気持ちは、お前にならわかるはずだろ? 今まさに友達を失うかもしれない俺の気持ちは』
 ……あぁ、そうだ。みんな、俺みたいにはなってほしくない
巳依は言った。『いつまで引きこもっているんだ? そんなに構ってほしいのかお前はー? 早く立って、復讐するなりなんなりすればいいじゃないか。あ、バレないようにしろよー?』
 笑っちまったよ、この時
でも、元気付けようとしていてくれるのが凄くよくわかった
 俺は、立ち直れた
恵まれていたんだと思う、周りに
 俺の周りには、やっぱり良い奴がたくさんいるなぁって、俺は改めて思った


 もし、あの事件の犯人を見つけたなら、我慢できずに復讐してしまうかもしれない
でも、変わらない。俺はずっと、あいつらとの関係だけは守っていきたいって……
「……」
HP残り、1ドットくらい
 諦めない、俺は絶対に諦めない
「人が一人で死ぬと思ったら大間違いだ。人にはつながりがあって、そいつらにも重みは降り懸かるんだ」
「……ぅるさい」
「お前は「うるさい!」」
 悪魔どもが、黒いオーラのような魔力を纏い出す
そしてノアちゃんの鎌に、悪意の塊のようなものが纏わりつく
 本気、か
「……死んで……」
 その呟きとともに、俺への一斉攻撃が始まった

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あきゅろす。
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