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Accesses The Reality Cruelty
太陽と月

俺は、両親が大嫌いだった
 俺のことをわかってくれるのは、妹の葵だけ
みんなみんなみんな、俺を見てない。見てるのは、俺の才能
 運動、勉強……他のことだって大概、簡単にこなすことができた
友人は、いなかった。両親が俺の才能を鍛えるために、それだけに集中させるために、同じ学校の人たちの親を金で雇い、その子供が、俺と仲良くしないようにしたんだ
 俺は、弱いんだ。こんなことをされると……なにもかも、生きることすら嫌になってくる
だから、俺を励ましてくれた葵だけは……絶対に失わないつながりだけは、大切にした
 そしてある日、出会いがあった
葵が、あいつを……霊介を連れてきた
 あいつは違う小学校にいて、偶然葵と知り合ったらしい。学校自体が違うから、親が関係してるわけでもない
最初は半信半疑だったけど……話し合う内に俺は打ち解けていった
 ……才能を見せることが怖かった。だけど、俺は葵に言われて、絶対大丈夫だって言われて……才能を、みんなが羨むものを見せた
その時さ……あいつ、どうしたと思う?
 はは……無視したんだよ、盛大に
安心した。あぁ、こいつは信用できる。こいつも俺を、裏切ってくれないって
 あいつは、俺にとって太陽みたいに明るかった。葵も、月のように暗闇に立っていた俺を照らしてくれた
 このふたりは、お似合いじゃないかなぁ……俺は今でも、そう思ってる
……だからこそ、だ
 だからこそ、霊介がふさぎこんでしまったとき、俺は落胆した
こんなに強い人間でも、あんなに生き生きしてた人間でも、こんな風になっちゃうのかって
 俺はその頃から、夢を見ることをやめていたんだと思う
夢を見ていいのは、世界が明るく見える人だけだって……


「エノリーク城が、軍を動かした!?」
「この者を、指名手配にして、捕まえた者に賞金をやるとも言っておりました。さらに、エノリーク城の第一防衛兵器《レイボル》も動いております」
「あの落雷モンスターか……」
 そう呟きながら、俺は事柄をまとめた書類を受け取った
『指名手配【レミリナ・アヴァンストリーム】 この者を無力化し捕まえた者には望むままの報酬をやる』と、あとイラストが載っていた
 短いポニーテールの紫色の髪に、紫色の瞳。服装はなぜか白衣
「《魔王》……? こいつが……?」
「その者は、《北の魔王》《東の魔王》《西の魔王》《南の魔王》、どのデータにもあてはまりません。新しい魔王が生まれることなど、1000年に一度あるかどうかですから、恐らくその魔王とやらは、4人の魔王の誰かと関係のある出来損ないの魔王だと思われます」
「第二、第三防衛兵器や、殺戮兵器系などは動いていないか?」
「急な指令でしたので、そちらは動かせなかった様子です」
「それらを命令したのは、王か?」
「こちらで仕入れた情報によりますと、王をリノという者が脅した、と」
「どうするの、おにいちゃん」
「…………しかたない。レートも含めて、あいつらを全員ここに収集しろ。霊介たちもだ」

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あきゅろす。
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