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Accesses The Reality Cruelty
王様

「さーてと、遊ぶのもほどほどにして、そろそろ仕事もしなきゃね」
 とりあえず……どうしよ
「うーん……よし、決めた」
 城の守りも崩しつつ、ノアちゃんの手伝いもしてあげよ
「くふふ……その前に、王宮にお邪魔しないとね」
 中央地区、エノリーク城の城門は……確か閉門時は全てを拒絶するんだっけ
「あーあ、人間も考えることがバカだなぁ」
なら、城壁から入ろ
 城壁は、世界最高峰の重くて堅い金属を使ってるんだっけ。それを灰色に染めて石の城壁っぽく見せてる
「ボクの前じゃ、無駄なのになぁ」
 壊すわけでもない。乗り越えるわけでもない
「パラメーション」
 城壁を、すり抜ける

「えっと、オウサマはどっちかなー?」
 ……めんどくさいなぁ。こういうのボク、苦手なんだよ
「んー……ゴーストモンスターLv4」
 ボクがそう唱えると、一体の大きな黒い幽霊……ダークゴーストが出現した
「ダークゴースト……名前長いな……ダーくん、とりあえずゴーストたくさん呼んで、城内を混乱させてくれないかな」
「……」
 む、無愛想なやつだなぁ
でも命令は聞いてくれた。何十匹ものゴースト、ザ・ゴーストどもが召還されると、それぞれ壁をすり抜けたりしてどこかへ行ってしまう
「んー、じゃあ次は……ボクをオウサマのいそうなところに連れてってくれない?」
「……」
ん、なんかジェスチャーしてきた
 え? 乗れ?
「はいはいっと」
ボクは実体のない自分の体を浮かすと、ダーくんの肩に座った
「レッツゴー!」
ボクがそう言うと、ダーくんは壁の中へすり抜け始めた


「……いない」
 あれ以来、あの白衣の少女が、見つからない
「探索スキルの書も、役にたたない」
 もうこの街から、去ったのだろうか
「……ありえない」
それぞれ街の出口には、私の暗殺部隊が一部隊ずつ待機している
 去ったなら、情報が入ってくるはず
「やっぱり、不完全でも、《魔王》の力は健在」
 早めに始末するか、仲間に加えるか、手を打たないと
「捕獲できれば、《北の魔王》との交渉も、できるかも」
 次は、南西地区でも行こうかな


「あ、いたいたー」
 そう言ってボクはダーくんの肩から降りた
「なんだ……貴様は。この混乱は、貴様の仕業か」
「そうだよ」
 オウサマの名前は、ガルバって書いてあった。ガルバ・エノリークかぁ
服装は、頑丈そうな白い鎧に王冠。そして赤いマント。
長い赤い髪に黒い瞳。そして手には、白銀の大剣
「銀、かぁ」
 それは、マズイなぁ。いくら幽霊でも、ボクは吸血鬼だ
「貴様を倒し、城の混乱をせき止める!」
 そう言うと、ガルバは白銀の大剣でダーくんを斬りつけた
「ゥア……」
 あれ、実体のない相手にも物理攻撃を効かせられるのか
さらにやばいなぁ……ボクたちゴーストは、VITが限りなく低い
「消えろ」
ガルバはダーくんをもう一度斬り伏せて、倒してしまう
 あーあ、これで召還したゴーストたちも消えちゃった
「次は、貴様だ」
ガルバが、ボクに剣先を突きつける
「……あまり調子に乗るなよ、人間」
「ほざけ」
 そしてガルバは、ボクへと大剣を振りかぶる
「消えろ」
「……」
 そして大剣が振り下ろされ……
「ファース」
そこでボクは、ガルバの後ろへと瞬間移動をする
「実体化」
 体に、感覚が、五感が戻ってくる。地に、足がつく
「調子に乗るなって言ってるんだ、人間」
そしてボクは、そのままガルバの首筋へと噛みついて
「吸血」
 吸血鬼の本領を、発揮した


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