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Accesses The Reality Cruelty
アルケミスト

とまぁ、いろいろあって……
「それじゃ、霊介。ハンデはどうする? 片手使わないとか、移動しないとか、なんでもいいぞ」
「いらん」
 ……どーしてこーなったんだ
「頑張れ、霊介」
「リョウスケさん、頑張ってください!」
「頑張って、リョウスケ」
 俺がいま頑張りたいことは、ここから逃げることだが
「どうせ負けるだろ。期待するだけ無駄だ」
いまだけは激しく同意するよ……巳依
「おにーちゃんなんかやっつけちゃってりょーすけー!」
いや、葵……お前、俺より師匠の方が強いって一番知ってるだろ
「よっと」
 で、レートはなにやってるんだ?
「コインは表か。よし、俺はアオトに500G賭ける」
 ギャンブルかよ!
「ほら、あと十秒だぞ」
 デュエル開始のカウントダウン、残り10秒
「あー、くそ。やるしかないか」

 これより15分……? 30分だっけ? まぁどっちでもいーや。そのとき、俺たちは話を終えて帰ろうとしてたんだが
「霊介は、結局戦ってくれないのか」
「もちろんだ」
「はは……即答か」
「ちょーっと待ったそこの腐れ装備ども」
 黙ってろ中二病。こちとら変な二つ名付けられてイライラしてんだよ
「なんだ……?」
光蛇も落胆を露わにしていた
「見たところ、そこの光蛇くんと霊介くんの装備はどーみても初期装備並みではないか」
 ゾクッとした
「だかゴホァ!!」
言葉を続けようとした中二病(名前なんて覚えてない)を巳依と葵が蹴り飛ば……いや、蹴り潰す
「おい貴様。今なんて言った?」
「霊介は、くん付けが苦手なんだよ! 前にそう言ったよね」
「ず、すみまぜんでじだ」
「あ……あはは……でも、今のは夕希が悪いかなぁ」
 そう言えばこの三人は、俺が心底嫌っていたあのストーカーのこと知ってたんだっけ……
……今回ばかりは、こいつらが良い奴だと認めざるおえない
「で、なんだ」
 光蛇はそれらを一瞥してから、続きを聞く
「あ……ああ。だから俺が、お前たち二人の新装備を作ってやろうか? という提案だ」
「怪しい。ウザい。却下」
「悪いが、もっと信用のある人に作ってもらう」
 俺と光蛇は同意見だった
「あはは……信用ないなぁ、夕希……けど、二人とも」
 と、師匠が俺たちを呼び止めた
「こいつは、アルケミストとしての腕だけは確かだ。頼んでみた方が、得すると思うよ」
 そいつ、アルケミストか
アルケミスト=錬金術師。まぁ、配合のスペシャリストだな
「どうする光蛇」
「……………………しかたない、頼むか。どうせ新装備を買おうと思っていたところだ」
 わかる。わかるぞ。お前は凄く悩んだんだ
「では、特別に君たちの新装備を、無料で作ってやろうではないかぁ! なにかリクエストはあるか?」
「「ない」」
「即答!? 少しくらいはあるだろ」
「あえて言うなら、黒い布装備。あと少し長めの短剣」
「できるだけ軽く、丈夫な装備が良いな。布でも革でも金属でも、なんでもいい。武器は炎属性のつく剣がいい」
「なんだ。ちゃんとリクエストがあるではないか」
「「お前には無理な注文だと思ってた」」
「ハモるな!」

とまぁそんなわけで、それらができあがるまで師匠とデュエルする、という話になってしまった
「あー、くそ。こうなりゃやけくそだ」
ちなみに俺の武器は、アーミーの武器倉庫にあった小刀を借りている
 DEは、まだ隠しておく
もしかしたらDEのことバレてるかもしれないけど、不意をつくために隠しておく
「さあ、勝負だ霊介」
 そして今、デュエル開始を告げるカウントダウンが、0に変わった

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