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Accesses The Reality Cruelty
地図
「で、お前はどうなんだ?」
空が夕暮れに染まった頃、すべてのヘルプを読み切った頃合を見計らって、俺は問いた
「どうって?」
「家族を現実に残して、ここにきちまって、ってこと」
正直、俺は心配していた
仮にも……いや、こいつは大事な友達だ。心配をせずにはいられなかった
「あぁ……気にしてもしかたないし、時間はたくさんあるしね。お前といっしょなら、ゲームクリアなんて楽勝だ。俺はここで勇者になってやる」
「と思ってる奴ほど早く死ぬ」
「この世界での死は、現実の死を意味する……ってヘルプにあったな」
「ま、いざってときは逃げればいいさ。俺はド○クエ8で、ゲームクリア時は出会ったモンスターが50000なのに対して逃げた数が30000くらいだったし」
「凄い数だな……」
「ぶっちゃけ戦うのがめんどかっただけだけど、逃げるのは大切だろ」
「だな」
「そろそろ眠くなってきたなあ」
「マイペースな奴だ……」
「夏休みが7倍に増えるんだぞ? 少しは喜べ」
「はいはい。んじゃあ宿でも探すか」

「ちょっと待て」
しばらく歩いた後、俺は言った
「これおかしいだろ。どのゲームか知らんけど、なんでRPGの中なのに地図がないんだよ」
「そういう仕様なんだろ」
「馬鹿言うな。ド○クエだろうがゼ○伝だろうがファイ○ァンだろうが、街や村には100%地図があるもんなんだよ」
「まあそうだけど……」
「なのに、なにこれ。なんで探さなきゃいけないの? こんなの王道RPGじゃねーよ。地図のないRPGなんて材料があるのに作り方がわからないケーキだよ」
「なんでケーキ限定なんだ」
「こりゃクソゲーだな」
「自分でマッピングしてろ」
「そういうのは違うゲームの仕事だ。RPGにはまったく必要ありません。つか制作者が地図作って配布しろや」
「このゲームの制作者って誰だよ……」
「あのおっさん?」
「かもな。お、宿あったぞ」
「おいクソジジィ! MAPよこせ! こんなん王道RPGじゃねえ!」
「叫ぶな。周りに迷惑だ」

「ところで……」
俺たちはひとつの小部屋を借りて(金は光蛇払い)とりあえずひと休みしていた。そうしていたら、光蛇が口を開いて、言った
「霊介はどんな職業にしたんだ?」
「は? なにが?」
「だから、職業だよ。あの男に聞かれただろ?」
「いや、まったく」
「こいつが話を聞かないからあいつも途中で話を投げ出したんじゃないだろうか」
「まあそんな感じだったな」
「馬鹿だ……」
そんな会話をして、ウィンドウと俺は呟いた
「そういや、お前の職業ってなんだ?」
「ん? ウィンドウ」
光蛇はそう言うとなんか変な風に指を動かして(他人には相手のウィンドウ見えないので変に見える)なにかをする
すると、光蛇のウィンドウが俺にも見えるようになった
「これで他人にも見えるようになる」
そう言うと、光蛇はステータスを表示して、俺に見せた
俺は自分のウィンドウの操作を一時中断して、そちらを見てみた
「Lv38(なぜいきなりこんなに高い……)のフレイムバスターか」
「ちなみにこれは二次転職後の職業らしい。一次はバスターで、二次は他にもライジングバスターとかがあるらしい」
「らしいってなんだ」
「炎の扱う戦士って希望したんだけど、いきなりLv38だったから驚いた。しかもいきなり二次転職後の職業だったしな」
「変な仕様だな。やっぱこりゃクソゲーか」
とりあえずSTRに次いでINTなどが高く、LUKが低い魔法戦士系の職業だった
ちなみにこの世界ではそういう能力値をある程度は自分で振り分けられることができるらしい
「で、俺は……っと」
……なんだこの職業、ふざけてんの?

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あきゅろす。
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