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Accesses The Reality Cruelty
休日
「……んぁ?」
目を開けると、茶色い木の天井が広がっていた
「……生きてる?」
「生きてるよ」
寝ていたベッドの隣には、イスに腰掛けているルーちゃんがいた
「……あれ? あいつは……?」
あの、ヴァンパイアゴースト、リノはどこに行ったんだ……?
「あいつ?」
「目、覚めたか、霊介」
「なんかいま聞きたくない音が聞こえた」
「せめて聞きたくない声にしてくれ。悲しいだろ」
「知るかうるさい黙れ」
と、起きあがるか……
「……」
やっぱり腹筋一回もできなかった
「無理しないで」
っていうかさっきから多少のデジャヴを感じるんだが……
「クゥは?」
「ここにいますよ〜♪」
……なんか凄い近くから聞こえた気がする
 おそるおそる壁側の方に顔を向けてみると
「ぬぁっ!?」
……目の前にいた。つーか、同じベッドで寝てやがった
これなんてエロゲ?
 …………じゃなくて
「なんでクゥが隣にいるんだよ……」
「逃がさないようにするためです」
「どうやって寝ながら逃げるんだよ」
「大丈夫です。心配しないでください。さきほどまではルーさんがここに寝ていたので」
…………は?
反対側に振り返る
「…………マジ?」
「ぅ……」
顔を赤くしながら、なんかもじもじしていた
 これなんてエロゲ?
…………じゃなくて
「……お前ら、ひとついいか?」
「なんですか?」
「女の子が軽々しく男の隣で寝んな。夜這いでもする気か!?」
「え、でも私……よくお母さんの隣で寝ていましたよ?」
「クゥは常識が抜けすぎだ。ってゆーかルーちゃんに至ってはわかっててやってただろ……」
「う……」
「…………」
「そ、それは……」
「おい、霊介」
「うっさい黙れ」
と言ってやったのにこいつは無理矢理肩を組んで小声で言ってきた
「いいじゃないか、別に。お前エロゲの中に入りたいとか言ってただろ。こういうシチュエーションもいいんじゃないのか?」
はあ? なにこいつ?
「お前なんだ? ロリコンか。確かにまぁまぁ良かったけど、子供に夜這いされるシチュエーションより、その前に美女キャラ出してくれ」
「…………そうか。そういえばそういう奴だったな、お前は」
そう言うと光蛇は組んでいた肩を離した
「むぅ……そこまで言うならしかたがないですね」
クゥもそう言うと、起きあがって地に足をつく
ってゆーかクゥっていつも裸足だけど、いいのかな、あれ。服装も茶色いボロマント一枚だし
「ところでいま何時?」
「11時だな」
「え、朝?」
「あぁ」
そうか……一日経ったのか
 やけに長い一日だったな、昨日は
「あぁ、ちなみに2日前が、お前の最後の記憶な」
……え?
「え、つまり、どゆこと?」
「お前は昨日一日たっぷり寝てたってことだ」
…………マジか
「ルーさんが安全になるまでまだあと5日ある。その5日は、お前もじっくり休め、霊介」
……なんだかんだ言っといてなんだけど、やっぱり光蛇がリーダーでよかったな
「……どーも」
まぁ、そんな女子に告白より恥ずかしいことは口が割けても言わないけどな
「自己紹介、しとくか? ルーちゃんも新しくいっしょに行くんだし」
「……あぁ、そうだな」
俺は、クゥを見た
 モンスターウィザードとしての、クゥを
「はい、そうしましょう」
クゥは、なんの迷いもなくそう告げていた
 眩しいくらいの、笑顔で
……やっぱり、こいつら全員、良い奴だよな
 あのヴァンパイアゴーストの言ってたことも、当たってた……かもな

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あきゅろす。
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