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Accesses The Reality Cruelty
一撃
「こいよ、凡庸な吸血鬼くん」
勝負は、一度。それを逃せば勝ち目はない
「強がっても、無駄ですよ?」
 気づけば、目の前に拳があった
「っと!」
ギリギリしゃがんで避けた後、ベースナイフでこいつを斬りつける
「無駄ですよ」
しかしそれは、こいつがもう片方の手でベースナイフの刃を直接掴まれて止められる
さらに
「ふんっ!」
「っ!」
ベースナイフを盗られ、マスターはそれを大きく後ろに投げた
「ち……」
後ろに、1歩、2歩、3歩……と、下がってしまう
すると、すぐに背中が壁に当たってしまった
「行き止まり、逃げ場はないですよ?」
「そう……だな」
だけど、それでいい。そうじゃなきゃ、だめだ
「そろそろ吸血でもして、終わらせて上げましょうか?」
「好きにしろ。どーせ男の血なんてうまくねーぞ」
「生き血は、なによりもうまいですよ」
「……血液って、とりすぎると病気になるらしいぞ」
「吸血鬼には関係ありません」
「……俺の血は毒だぞ」
「まぁ確かに、さっき蹴ったときに毒の状態異状にかかりましたからね」
おっと、そりゃ気づかなかった。さっきから気持ちが悪いのはそのせいか
「……はは」
「終わりです」
そうマスターが言い放った瞬間、その姿が消えた
 と思えば、すでにそいつは目の前にいた
とっさに、DEをある位置で構えておく
「吸血」

 ガブッ!

首に噛みつかれた瞬間、全身に激しい痛みと、痺れが走った
「く……あ……」
「あはははは……これでHPはMAX。それにあなたは、麻痺状態……もう勝敗は、見えていますね」
……はは
「あ……ぁ、そう、だな……この……勝、負……」
ある位置で構えてあるDEは、そのまま動かさない
「無駄ですよ。いくら超威力と言えど、たった一発くらい」
「はは……おめ、でたい……やろうだな……」
「……?」
「俺の、勝ち……だ。食らっとけ……」
指を少し動かすくらいなら……引き金を引くくらいなら、麻痺しててもできるはずだ
「ヘッド、ショット」

 ガゥンッッ!!

もの凄い音が耳元で響きわたり、耳を塞ぎたくなる
だがそれをがまんしてーーいや、麻痺しててできないだけだけどーー負け犬のセリフでも聞いてやることにする
「なん……だと……」
「お前、の……負け、だ」
「なんだ……なんだこれは!? 一撃で……私のHPが……0に!?」
 ……DEの特殊効果、それは、『ヘッドショット』
相手の頭にその銃弾をぶちこむと、相手が必ず死亡する
 まぁ、即死魔法系扱いだから、耐性があるザコモンスターとかボスモンには通じないけど
「ぐ……ぉおおおおおああああああああああああああああ!!!」
あぁ……ヤバい
 本日二回目の気絶が始まりそうだ
「まぁ……いーか」
そう思った俺は、そのまま目を閉じて倒れこんだ


「あーらら〜……やられちゃったよ、あいつ……できそけこないの吸血鬼、やっぱり役に立たなかったか」
「おまえ……は……?」
「あははははは、まだわかんないんだぁ。僕だよ、リノ・ヴィレナドルマ……二つ名は《死を招く者(インヴィテッド・デス)》」
「な……じゃあ……あなたは……」
「うん、そうだよ。リビングデッドの幹部。君の上司」
「……安心、しました」
「……ん? あれー、動かなくなっちゃった。まぁ、いいや……あはは、まさか、一対一……しかも一撃で倒しちゃうなんて、面白いやつもいたもんだ。しばらくは……これから楽しめそうだなぁ」
彼を見て、僕は笑った。これから起こる、楽しいことたちを想像して、笑っていた
「新しい遊びの、始まりだ」



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