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Accesses The Reality Cruelty
遅刻
後ろから聞こえてくるいろんな呼び声を無視して、外にでる
 光蛇はめんどう見が良いからな、今のルーちゃんくらいなら軽く守ってくれるだろ
「うぅぉおおおおおお!!」
速く! もっと速く! 約束を破ったら殺される!
 ……いや、母国で一度、幼なじみの約束を破ったら、半殺しにされたんだよ……あれもまだ軽くトラウマ
遠くに見えていた酒屋が、すぐそこに近づいてくる
「っらぁ!」
扉を開けるのももどかしく、ベースナイフを抜いて、その柄で扉をぶっとばして中に入る
そして大きく口を開いて、叫んだ
「マイナス30分早く来ましたー!!」
これで騙されてくれるかな……
 周りからの痛々しい視線を得意の無視スキルでスルーし、あの黒髪赤目の幽霊を探す
「遅いよぉ〜」
あいにく、あいつは隅の方の席に一人で浮いていた
 とりあえずそちらに向かって歩く
「イヤゴメンチョットマヨネーズヲパーティリーダーニゴリットルノマサレテタオレテタ」
「棒読みな言い訳はいいから、座りなよ〜」
お言葉に甘えさせていただこう
「浮くな、座れ、帰るぞ」
「遅れといて凄い態度だね……」
そう言いながらも座ってくれた
「さて、それじゃまずは」
「さっそく依頼を……」
「マスター! コーヒー1杯」
「……またなの? 苦手なんでしょー、よく懲りないね〜?」
ヴァンパイアゴーストの少女、リノがそう言ってくるけど、いつもの如く聞き流す
……まぁ返事くらいはしてやるか
「アイアムフリーダム(俺は自由だ)!」
「……?」
あー、そーいや英語通じないんだったな
 あと自分で言っといてなんだけど、意味もわからんし
「お待たせしました」
「どーも」
角砂糖を4つくらい入れて、と
 ズズッ……
……ふぅ
「苦い」
「やっぱりそういう感想なんだ……」
さて、と
「で、なんだっけ?」
「……ふふ」
ん、どうした、こいつ。頭打ったか?
「毎回、話を聞かないような態度を取るけどさ。君、最後はちゃんと話を聞いてくれるよね」
「ん……あー……そうかな」
「そうだよ」
「……」
「君、友達少なそうだけどさ」
「黙れ帰るぞ」
「たぶん、0じゃないでしょ? それで、その友達はたぶん、全員良い人だと思うんだ」
「1度目のたぶんはかなり失礼だぞ。ふむ、それじゃ俺は帰るから後はよろしく」
「あ、あ、待って待って! もう茶化さないからー!」
「……はぁ」
「そ、それじゃ本題に入るよ。幽霊の館にやってくる、吸血鬼の退治を頼むよ」
「ゆーれーのやかたって、どこよ」
「うん? ここ」
こいつは地面を指さす
「ん、地下?」
「違う違う。ここだよ、ここ」
次は中空に手を置いて、ぐるりと回す
「空間を抜けた先とか、裏世界とか、そーいう設定は頭の中だけにしといてよ」
「だーかーら、違うってば。ここだよ、ここ」
次は浮いて、この辺り全体を指し示すように両手を広げた
……ん? この辺り全体?
「え、ここ?」
「うん、ここ」
「酒場?」
「うん、酒場」
……なるほど。外には幽霊いなかったのに、この酒場だけはいるからなー
「って、マジか」
「うん、マジマジ」
あぁ、なんだ。移動する必要なかったのか。いやー、よかったよかった
「んで、きゅーけつきってどこにいんのー?」

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あきゅろす。
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