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Accesses The Reality Cruelty
レベルオプション
 忘れていたのかもしれない。楽観的に考えすぎていたのかもしれない
このゲームの中の死というものを
 受け流すべきところではなかったんだ。無視するべきじゃなかったんだ。聞き流すことは間違っていたんだ
それだけは、受け止めないとだめだったんだ
「ぅああああああああ!!」
無我夢中で、ベースナイフを振り回しながらカカシを的確にDEで狙う
そしてその姿が消え……
「逃がさない!」

 ガゥンッ!!

自分の死角、真後ろに向けて発砲
「ウゥアアアアアアアア!!??」
そしてあの白い化け物が、初めて悲鳴を上げた
「リョウ……スケ……?」
ルーちゃんが、俺の名前を呼んだ
「初めて、名前、言ってくれたな」
そう言ってルーちゃんの前に立つ
「大丈夫か?」
「……ダメ。もうHPが残り10も無い」
ギリギリ、生きてた、か
「よかった……」
「っ!」
「立てるか?」
「……む、無理。あいつの使う状態異状っていうのは、一週間の回復不可と、10分の麻痺の効果なの」
わりと早口で説明された
「一週間の回復不可、10分の麻痺……か」
確認するように、俺は復唱する
「確かに、強力だ」
もうルーちゃんなんて、一週間は死にかけていなきゃいけなくなるのか
「……だけど」
俺は、一度振り返ってから、安心させるように笑ってみせる
「大丈夫だ、俺が、守るから」
「っ!!!」
いきなりルーちゃんが激しく赤面する
 ……あー、確かにちょっとキザ過ぎたかも
でも、ま、いーや。本心だし
「……私のこと、嫌いじゃないの?」
「もちろん。ルーちゃんは、俺のことは嫌いかな? さっきそう言ってたし」
「……嫌いじゃ、ない」
「あ、そう……そりゃよかった」
 正面に向き直り、俺は二つの武器をしまう
「え……」
ルーちゃんは驚きの声を発してるけど、今は構ってる暇はない
 そしてカカシが、赤く光る不気味な目で俺を捉えた
「こいよ、すぐに終わらせてやる」
そしてその姿が、消える
だけど、見える。わかる。あいつがどう動くのか、どこから来るのか
 正面左横から繰り出される巨大な拳を、左手で掴んで受け止めた
バカのLvは気分、か。確かにいまなら、なんでもできそうな気がする
だけど、まだだ。まだ、足りない
「レベルオプション」
俺はいままで一度も使っていなかったスキルの名を呟く
その瞬間、カカシが移動しようとしたのがわかる
 逃がさねーよ、と心で呟いて左手にさらに強く力を込めて押さえ込む
そしてスキル名を言い終わってすぐ、無機質な女の声が頭の中に響いた
『認証しました』
カカシが逃げるのを諦めたように、左腕で殴りかかってくる
だがそれよりも早く、俺はスキルの発動を促す
「Lv100、STR特化、制限時間3秒!」『スキルを発動します』

 バゥンッッッ!!

空いていた右腕を振るうだけで、迫っていたカカシの左拳を破裂させる
それとまったく同時に、俺の頭の上に新たなゲージが出現した
「ウゥア「黙れ」」
左手に少し力を加えただけで、カカシの右拳は砕けた
 1秒経った。ゲージが2/3まで減る
「逃がさないからな」
右腕に渾身の力を込めながら、左手で再びカカシを掴む
 2秒経った。ゲージが1/3まで減った
「ウゥアアアアアア!!」
「終わりだ」
そしてその右腕を、カカシに向けて振りかざした

 バゥンッッッッ!!!!

吹っ飛ばなかった。砕けなかった。ただ、破裂した
風船のように、ほとんどなにも残さず破裂した
 そして、3秒が経った。ゲージはもうすでに、0だった

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