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Accesses The Reality Cruelty
北の魔王
 解放された『黒』は暴れ狂い、俺の視界の全開以上の前方側を埋め尽くす

「……力が」
 力が、溢れてくる
 こんなに派手に『黒』を放とうとも、MPは底を見せない。それはバルハルトになったことで保持魔力量がありえないほど上がったからだ。何千体ものモンスターを事も無げに召還できるほどのMP量を、今俺は持っている
「……」
 だけど、『足りない』
 まだ、足りない。こんな力じゃ、全てなんか救えない
 もっと力が欲しい。どんな力でもいい……もっと、もっと力を……!

「わぁー、凄いよお兄さん」

 瞬間、背筋が凍るような殺気に晒される
……なんだ、コレは……?
 俺の『魔王』の力と同等……? いや、それ以上……!?
「誰だ……」
 暴発した黒で街の一部を派手に消し飛ばしたことにより吹き荒れていた砂の霧が消え、だんだんとその状況を認識できるようになってくる
「初めまして、お兄さん」
 ……目の前には、あの宝箱の中にいた少女が立っていた
 そしてその周囲には、傷一つとしてない
 ……防がれた、のか!?
「っ……」
 さらに、その後ろには無傷なあの二人
「お前も、そいつらの仲間なのか」
「違うよ。殺しはいけないって、そう思ったから」
 ……はっきり言って、この少女と戦って……勝てるとは思えない
 なんなんだ、この力は……。魔神には及ばないが、一個体が有せる力量を完璧に越えている……
……だが
「どけ。俺はそいつらを、殺さないといけない」
 収まらない。いくら冷静になろうと努めても、怒りは底を見せない
「いや」
「どけ」
「いや」
「いいから、どけよ」
「そこまで言うなら、私を倒してみてよお兄さん」
 ……正直、いくら怒っているとしても冷静ではあるつもりだ
「……」
 が
俺の視界の奥に、あの二人が逃げようとする素振りが見えた
 それを見つめ、俺は冷静さを失っていく

 ーー螢を傷つけておいて、無事で済むと思うなよ……

「邪魔だ。殺す」
 瞬間、いつもの如く一歩で距離を詰めてやる
さらに勢いを殺さず、拳を振りあげた
 が、そこにもう少女はいない
……気づけば地面に顔を突きつけていた
「っ……」
「言い忘れてたけど、私、『北の魔王』だよ? お兄さんも魔王みたいだけど、オリジナルじゃないみたいだから……きっと私には勝てない」
 ……勝てない?
 負ける?
「フザケルナ!」
 瞬時に全ての魔王の力を解放。闇より深い『黒』が体に纏わりつき、体を侵食し始めたことがわかる
 ……力が、増大する
「っ!」
 ……だけど、これでもまだ『足りない』
 もっと力が欲しい。もっと力が必要なんだ……!
「……そんなに苦しんでるのに、お兄さんは戦うんだね」
 苦しい?
 そんなものはどうでもいい。必要なのは力だ。力さえあれば、全てを救うことができる
だから……

「ひど の ずべてを ずてで でも、ずべて を すぐいだい んだよ……!」

 ……そうだ
だから俺は、力を求めてる
 全てを救いたい。どんなに傲慢だとしても、『全て』を救う
そう、決めたんだから


『前提条件《壊されし人の器》をクリア。プログラムコードプレイヤーシステム《人外の覇者》が覚醒しました』




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