[携帯モード] [URL送信]

Accesses The Reality Cruelty
コーヒーの末路
デュエル、もといPvPというものは知っているだろうか
対人戦、1対1形式のバトルだ
 そしてそれがいま、まさに酒場で行われていた
この時ばかりは「サイコー」と喜んでいた俺だった
酒場の中央から机や椅子などがどけてあり、その真ん中には二人の人間が戦闘を繰り広げていた
周りには数々のギャラリーもいる
「これこそRPGだ!」
さて、と。どんな感じかな
 俺から見て左の相手は、赤い重鎧を体中に着込み、武器はメイスの防御特化型戦士といった感じだ。しかたなく名前を見ると、バルドと書いてある
対して、右の戦士は落ち着きのある格好の感じ良さげな奴だった
軽い茶色革装備を着込み、その上から青いマントを着ている。それだけで、武器は鉄の片手剣だ
名前は……フィラード
「ふむ……」
目を凝らすと、バルドとかいうやつのほうはかなり疲れているように見える。対してフィ……ラード? はあまり疲れてなさそうだ
「ちょこまかと……」
バルドが口を開く
「パワーには自信がないからね」
フィなんとかも言い返す
「……バルドとか言う奴は負け確定だな」
負けフラグ立ったし
 さて、もうフラグのせいで飽きたからカウンターにでも行くか
俺は右から遠回りをしてマスターのいるカウンター席に腰をかけた
そして
「コーヒー。ブラックで」
まったく懲りてない俺であった

さて、と。勝負はどうなってるかな
 とりあえずコーヒーが出来上がるまでは暇だから後ろを見てみる
「死ねやぁああああ!!」
雑魚っぽいセリフだぞ、バルド
 バルドとかいうやつはメイスを振り回して……っていうか店内で、んなもん振り回すな
しかしフィなんとかはそれを華麗に受け流しーーそれで余計に床に穴が空きーー相手を疲れさせてゆく
「そこだっ!」
不意にフィなんとかが刃を突き出して鎧の隙間を貫く
「ぐ……だが……捕まえたぞ」
と、そこで動きが止まっていたフィなんとかの腕をバルドは掴んだ
クソギャラリー共が騒ぎだす
そして思い切りメイスを……
と、そのとき
「なにをしているの」
誰かが入り口から店へ入ってきて、そのメイスを素手で受け止めた
と、あとコーヒーが出来た
「待ってましたっ!」
もうあっちはどーでもいーや。コーヒー飲もっと
「誰だ、てめぇは」
……やっぱ苦いな。砂糖入れてない分、昨日より苦い
「私のことはどうでもいいよ。それよりなにをしているの?」
せっかくブラックにしたけど、やっぱ砂糖入れようかな
「デュエルだよ。子供は帰って遊んでな」
いや、でもそれじゃせっかくブラック頼んだ意味がないじゃないか
「私は子供じゃない。それにそんなことを聞いてるんじゃない。どうしてデュエルが禁止されている場所でわざわざやっているのかを聞いてるんだけど」
うーむ……でも飲めなきゃ意味ないよな
「マスターが了承してくれたんですよ」
よし、砂糖入れるか
「マスターが?」
えーと砂糖は……あったあった
4つくらい角砂糖を入れて……っと
と、そのとき

 バンッ!!

カウンターが力強く叩かれ、揺れる
そして……
「マスター。これはどういうことなんですか」
コーヒーが、こぼれた
「…………」
「それは……」
こ、の、野郎……
「きちんと説明を「おい!てめぇそこの子供!」」
俺は立ち上がり、大人げもなくそいつへ向き直った

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!