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Accesses The Reality Cruelty
面会
「やあ。来たね」
 ……第一印象は、優しそうな青年というものだった
 日本人特有の黒い髪と少しつり上がった黒い目。そして多少の長身を持つ黒服の男
 笑いが絶えない面白そうな人のように見えるが……なぜか俺はその笑みを不気味と感じた
警戒するに越したことはない
「あなたがギルドMSCの団長ですか?」
「堅苦しい。猫は被らなくていいよ。それと、そうだよ。俺が団長。ルーから聞いてないかい?」
 ……性格が最悪だと聞いている
「聞いてない」
「へえ」
 値踏みするように見られたが、俺たちは対して気にすることもない
「なるほどね。データスキル《カグツチ》を持つLv41のフレイムバスター君に……我がMSCの鬼才、Lv37のブレイブハンター」
「な……!?」
「後は……人とバルハルトの子、魔法構築元素操作を可能とするLv19のモンスターウィザード。最後に、リビングデッド元幹部にして究極魔法の一つネクロマンシーを操る、Lv50のネクロマンサーかな」
「「!!??」」
 ルーさんを除いた全員が、これに驚いていた
「……それは……データスキルなのか?」
「俺のデータスキルじゃないけど、ね」
 ……どういうことだ?
「ま、とりあえず自己紹介でも。ギルドMSCの団長、赤城明人(あかぎ めいと)。この世界じゃメイトで通ってる」
 俺たちのことなら知ってると言うので、自己紹介は省く
「それで、なんの用だい?」
「これをアーミーの団長、蒼都から頼まれて持ってきた」
 そう言って俺は封筒を取り出し、渡す
明人はそれを惜しげもなく乱暴に破いて中身の髪を取り出した
「……エノリークの魔神、偽魔王レミリナ・アヴァンストリーム、同盟の申告……」
 明人は適当に書類を見渡し……全て破いた
「……!?」
 それを惜しげもなく踏みつぶした後、こちらに向き直る
「くだらないことばかり書いてあったね」
「なに……?」
「ははははは。魔神の復活? 偽魔王? そんな小さな情報に気づいてないと思ったのか、あの堕天才は。ましてや同盟? そんなことして何の得があるよ?」
 ……こいつは……
 こいつは、敵だ
体がそう、勝手に認識していた
 善心の一欠片も持ち合わせてはいないと、確信することができた
 まだ少ししか話していないのに……だ
クゥがおびえ、ルーさんの後ろに隠れる。ノアさんもいつでも戦闘に入れるように気を配っているみたいだ
「いい反応だけど、あからさますぎるよ。もっと相手にわかりにくくしないと」
「っ!?」
 気づけば目の前に、明人がいた
いつのまに来たのかわからない。さっきまでもっと遠くにいたはずだ
魔法を使ってはいなかった。スキルはともかく、魔法は魔法名を唱えなければ発動しないのだ
 つまりこれは……単純な速さが導き出した結果なのか!?
「メインディッシュには程遠いけど、少しは楽しめそうだね」
 明人はそう言い、俺から離れた
「君たちには北の魔王を探してもらおう」
「っ……わかった……」
 その目を見て、断ることが拒絶された
顔は笑っているのに目は笑っていない
その目はまるで無邪気な子供のようなものだ
 殺戮に興味を持った、子供のようなもの
断れば……殺される
 頭ではなく直感がそれを感じていた
「それじゃ、頼むよ」

 面会が終わった後、ノアさんを除いた俺たち全員は床に崩れ落ちた
実際に会ってみて、わかった
 ただの殺戮者だったらどんなによかっただろう
 ただの殺しの快楽主義者だったらどんなによかっただろう
会ってみて……感じた
 それは恐怖だ
そこしれない恐怖を、あの男から感じていた
 性格云々の話じゃない
……頭の中にあるものの基準が、違いすぎる

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