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Accesses The Reality Cruelty
救うための力を

 ……俺は満足だったのか?
 後悔していなかったのか?
 この選択に迷いはなかったけれど……
ただ、二つの選択から逃げただけじゃなかったのか……?


「っーーー!」
 俺は何かから逃れるように、目を開けた
「え……あ、あれ?」
 ……俺、死んだんじゃなかったっけ
それともあれは夢? それともこれが夢? いや、ここは天国なのか?
「……兄さん」
 懐かしいその呼び名に、俺は反応する
視線の先には、螢がいた
「……お前、どうして……」
 さらに周りを見渡せば、エミアとフェルも見つけることができた
 ……泣いてる?
「あ……」
 その視線の先を辿り、多少の事情を理解した
……マヤと読まれる名前のお婆さんが、俺の隣に倒れている
「……どうして」
 俺が望んだのは……こんな結末じゃないのに……
「どういう、ことなんだよ」
 螢に、問いただす
「……この世界唯一の蘇生魔法……エグジスタンスエクスチェンジ」
「そせい……?」
「自分の命と……他人の命を、交換する魔法……」
 ……なんだよ、それ
そんなの……蘇生なんて言わないだろ……?
「……理解、した」
 ……結局俺は……

 誰も、救えなかったのか……?

「……ごめん」
 自然と、言葉が漏れる
「俺は結局……なにもできな「お前のせいじゃない!」」
 フェルが、俺の言葉を遮った
「お前は……十分頑張った。私が保証する……」
「でも俺は、何も守れなかったんだ……しかもお前ら母親代わりだったやつは、俺が殺したも同然」
「それでも私は、お前を恨むことはできない」
「……恨めよ……呪えよ……俺が、殺したんだぞ?」
「……ボクも、君を責めるなんて……できっこないよ」
「俺は救われるべきじゃないんだ……俺は……俺にそんな価値は「そんなの、関係ないよ!」」
 螢が、叫ぶ
「こうなることは……きっと決まったことだったんだよ」
 決まったこと……?
「だから、兄さんは悪くない」
違う。そうじゃない
 こんな結末にならない選択だって……
もっと必死になれば。最初からその可能性を探していれば
 きっと両方を、みんなを、救えたはずなんだ
「……」
 ……まだ、力が足りないのか?
ただの力だけじゃ、だめなんだ。……運命だってねじ曲げられるほどの力さえ、あれば……
 もっと力が欲しい
守るための力じゃない。俺は、みんなを救うための力が欲しい
 もっと……もっと力を……
どんな力でもいい。俺は……
「……俺は、救世主になる」
 救うためには、確実な目標が必要だ
俺は……力を求める。すべてを救える……力を
 だから……俺はもう、何かを諦めるなんてことはしない
最後まで足掻いて……足掻いて足掻いて、足掻き続ける
 もう負けたくないから
 もう誰かを救えないのは、嫌だから

「兄さん」
不意に、螢は俺を呼びかける
 ……呼び方、変わってないか?
「……私は、兄さんについていきます」
「……いいのか? それで」
 フェルとエミアに聞こえない声で、螢は言っていた
「うん。それに、コウタさんたちは、この街をもう出て行っちゃったよ」
 薄情なやつらだな……
もう少しいてくれよ。そうすれば楽だったのに
 ……まぁ、俺が死んだ地域に長居したくなかったとかそんな理由だろうな
「本当にそれでいいなら、ついてきてくれよ」
「うん!」

 ……さて、早めに光蛇を追いかけないとな

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