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Accesses The Reality Cruelty
別れ

……雨が、冷たい
 林の大きな木に寄りかかり、俺はプログラムからスキルを構築している
あともう少しで、完成する
 周りには、みんながいる
光蛇、ルーちゃん、ノア、そしてクゥ
 セイスたちには、席を外してもらった
「……さて」
 俺は全員の顔を見つめて、まず一言
「みんな……ごめん。俺が悪かった。勝手な判断で動いちゃって……」
「もう少し私たちを頼ってもよかったのに……」
 ルーちゃんがそう言う
 もうこの4人には、全ての事情を説明してある
これから、なにをするかも……
「……光蛇」
「……なんだ、霊介」
「俺、実はお前に凄く感謝してたんだ。お前は、俺の一番の親友だった」
「……あぁ」
「ルーちゃん」
「うん……」
「チビとか言ってごめんな。きっとルーちゃんなら、美人になれるよ」
「……うん」
「ノア」
「……リョウスケ」
「もうお前は一人じゃない。光蛇もルーちゃんも、クゥも……みんながいる。だから、もう寂しくない」
「うん……」
「……クゥ」
「……はい」
「ごめん。俺はお前に、酷いことをした」
「はい……」
「そして、ありがとう。今日まで……楽しかったよ」
「……はい」
 スキルが、完成する
「んじゃ、光蛇」
「なんだ」
「全部、お前に託すよ。ゲームクリア、頑張ってくれ」
「……わかってる」
 俺は、一度二度三度、深呼吸をする
「パインフルセパレーション」
 そして出来上がったばかりのスキルを、唱える
 その瞬間、体の構造の何もかもが変わってしまったのが、わかった
……第三の選択。それは、俺自身がバルハルトになること
疲労がありえないほどもの凄いだろうけど、疲労がやってくるのは5分後だ
 死にゆく者には、関係ない
「……みんな」
 俺は、空を見上げる
もう、雨は降っていなかった。雲の合間から流れる日差しを浴びながら、俺は言う
「ありがとう」
 アイテムウィンドウからDEを取り出して、左手に持つ
頭に、銃口を向ける
「リョウスケさん!」
 クゥは言う
「大好きでした……初めて会ったあの日から、ずっと……」
「!……」
 ……俺は、笑う
最後くらい、笑っていたい
 泣きながら、笑いながら……引き金に指をかけて、俺は答える
「俺も、好きだよ。クゥ」

 ガゥンッッッ!!!

そう言って、迷わず俺は引き金を引いた
 別れを告げる銃声が林の中に響きわたり……
第三の選択に身を任せた俺は、目を閉じた

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