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Accesses The Reality Cruelty
第三の選択
 できない……俺がクゥを殺すなんて、できるわけがない
《……殺さなければ、螢の望みは叶わない》
「……リョウスケさん……」
「俺には……クゥを殺せない。殺せるわけがないんだ……」
「だめですよ……リョウスケさん。殺さないと、あなたの妹は……」
《殺せば望みは叶うというのに》
「俺は……お前に、生きていてほしいんだ……俺を恨んででも……クゥに……」
「それじゃあ、だめなんです……私があなたを恨むなんて、できるわけないじゃないですか」
《愚かな。その手の刃を振り下ろしさえすれば……》
「……俺は、選べなかったんだ……最後の最後で、結局どちらの選択も下せなかった」
「……リョウスケさんは、螢さんをとても大事に思っています。わかるんです、私には。……だからあなたは、私を殺さなくては、いけないんです」
《さあ、相手もそれを望んでいる。刃を振り下ろすんだ》
「……俺はお前を殺さない。俺は……」
「……リョウスケさん、殺してください」
《殺せ》
「俺はクゥに、死んでほしくないんだ」
「殺してください。そうしないと……いけないんです。それしか、ないんです」
《さあ、殺せよ》
「……さっきから、うるさいんだよ」
「……え?」
 クゥの言葉も、悪魔のような囁きも
うるさい
「殺してください」
うるさい
《殺せ》
うるさい!

「いいから、俺に従え!!!!」

 悪魔の囁きを引き裂き、驚愕の顔を浮かべるクゥの瞳を見つめる
心が読めるなら、言葉は元々不要のはずだ
 だけど、俺は言う
「螢も、クゥも、俺が両方救ってやる! 第三の選択を、俺は選ぶ」
「……え?」
 俺の心を読んだのか、クゥがさらなる驚愕の顔を見せる
そして……泣きながら、言う
「や、やめてください! それだけは……それだけはだめです! リョウスケさん!」
「……もう、これしかないんだよ」
「……リョウスケさん……」
「大丈夫だ。俺が絶対、二人を救ってやる」

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あきゅろす。
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