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Accesses The Reality Cruelty
魔王覚醒
「おしまいです」
 戦いに終わりを告げるために、私はリリィという少女に近づき、手を翳す
 とどめを刺さなくてはいけない
「この……」
「抵抗は、無駄ですよ」


 無駄だったのか? なにもかも……
俺はただ、終わりゆく戦いを見つめている
何もできなかった。たった一人で、何かができるわけがなかった
 そしてバルハルトが、リリィに手を翳す
 殺すつもり……なのか?
「く……そ」
 体が動かない
動け。動け動け動け動け動け!
 螢が死ぬぞ?
動け! 動くんだよ!
「う……おぉ……」
 まず始めに指が動く
「うおぉ……!」
「あんたには、何もさせない」
 が、さらなる力が加えられて、呼吸すらままならなくなった
「ぁ……!」
 バルハルトの手が、光る
動け! あいつを守れよ! 螢を……そのために俺は……!

「レーザー」

 ……螢が、地面に倒れ伏す
「あ……ぁ……」
 ……なんだ、コレハ
ナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハナンダコレハ
 現実? 認められない。俺は……
「……」
 憎い
ひとつ。たったひとつ。俺の中に、その感情が渦巻いた
 それは広がりつくし、体中を埋め尽くしていく
憎い。殺したいほどに、あいつが

《なら、殺せよ》

心の中に、悪魔のような囁きが聞こえた

《憎いなら、殺せ》

『……俺は』

《何を躊躇してる? 殺したいんだろう? 元々殺すつもりだったんだろう? なら、殺せよ》

『俺は……!』

《さあ、解放するんだ。魔王の、力を。その手であいつを、殺せ》

『……』



「ウォオオアアアアアアアアア!!」
 獣のような雄叫びをあげながら、俺は無理矢理拘束を解き切った
「な……!?」
 驚いているレミリナに手を翳すと、少し念じただけで強大な黒い魔力が迸る
それでレミリナを吹き飛ばし、バルハルトに視線を向ける
《殺せ》
「殺す」
 心の声に従うように、一歩足を踏み出す
一瞬でバルハルトの目の前まで移動して、相手を睨む
「これは……!」
「死に絶えろ」
 黒い魔力を纏う右手を、翳す
魔力が暴走したように膨れ上がり、黒い爆発を起こした
「っ……」
 避けられた
そう認識し、俺は追撃を……
「霊介!」
 そう思ったところで、誰かが巨大な炎の剣を振り下ろしてきた
手で受け止めて、データスキルで吸収する
「邪魔だ、光蛇」
 軽く念じただけで光蛇の真下から黒い魔力の柱が出現し、襲いかかる
光蛇からすぐに目を離し、バルハルトを見る
「魔王の力……ですか」
「お前を、絶対に殺す」

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あきゅろす。
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